積水化学工業さんで、熱電変換材料を
利用して、排熱(廃熱?)で発電をする
という実証実験をおこない、2018年度の
実用化を目指すという記事が出ていますね。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1604/20/news045.html
積水化学さん、女子駅伝だけやってた
わけではないんですね。
(「そんなわけ、ねーだろ、えへっ!」
などと、一人突っ込みをしながら書いて
いるわけでして)
使用を想定しているのは、乾電池や
太陽光発電などが難しい、高温多湿や、
定期的な交換・診断が難しく、さらには、
昼夜問わず常時監視の必要な設備の
センサー用電源などの用途だそうで、
煙突とか熱が出るところに、ぺったんこ、
と貼るようですね。
具体的には、ビルや大型商業施設の
地下施設、空調配管、エレベーター
シャフト、工場や大型倉庫、コンテナや
船舶などの輸送機器での利用などを検討
している、と書かれています。
大学(NAIST)と共同で開発した、と書かれて
いますが、この共願特許登録1件と、積水
化学さん単独での2016年4月21日ドン
ピシャ公開がありますので、どんな技術
なのか、この2件を調べてみましょう。
まずは、出願日が早いほうの、共願での
出願日が2014年2月26日、特許5768299、
PCT出願で、発明の名称が、「ドーパントの
チューブードーパント複合体の製造方法、
シート状材料およびカーボンナノチューブー
ドーパント複合体」と、ずいぶんと欲張った
発明の名称ですね???
請求項を見ると、カーボンナノチューブの
ゼーベック係数を変化させるためのドーパント
物質をいろいろ選択しています。
出ましたね、「ゼーベック効果」、中学だか、
高校だかで習った気がします。
ゼーベック効果を利用する熱電対を、
嫌になるほど使わせていただきました、
です、はい。
これの逆がペルチェ効果、だと、これ
また学校で習った気がします。
ということで、詳細な説明を見ると、
この発明は、ドーパントの選択方法、
-ドーパント複合体の製造方法、シート状
材料およびカーボンナノチューブ-ドー
パント複合体に関するわけですが、
カーボンナノチューブ(CNT)は単層
CNT(SWNT)を使うそうで、まあ、
CNTは柔軟な軽量エレクトロニクスの
実現に向け、近年、盛んに研究されている
んです。
ということで、熱電効果において効果的で、
より効率のよいn型導電性SWNT、及び
その製造方法を発明したんだそうですよ。
それでは、もう一つの出願公開のほうを
見てみましょう。
こちらのほうは、出願が2014年9月11日、
発明の名称は、「熱電変換モジュール及び
その製造方法」となっていて、先ほどの基本
特許を踏まえ、より現実的な熱電変換
モジュールの発明となっています。
(特開2016-58613)
【課題】
熱伝導率が高くなるのを抑制するファイバー型
熱電変換材料を有するファイバー型熱電変換
モジュールを提供する。
【解決手段】
少なくとも、ファイバー状の下電極2、
ファイバー状の熱電変換材料31、32及び
ファイバー状の上電極4がこの順で配置され、
下電極2及び上電極4がそれぞれ、導電性の
ナノファイバーを含有し、熱電変換材料31、
32が、単層カーボンナノチューブを含有する。
実施例を見ると、50℃に設定した
ホットプレート上にモジュールを載せ、
さらにその上に氷水を入れたステンレス
バットを載せたときの出力電圧は、
比較例では3.2mVでしたが、本実施例では
4.9から5.8mVだったそうですよ。
今後、高エネルギー密度や高電力化を、
いかに達成するか、というのが、キーに
なるのでは?と、思います。