メルクさんの免疫チェックポイント阻害薬の
キイトルーダが、厚労省から製造販売が承認
されたということで、話題になっています。
https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/54653/Default.aspx
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/42914A7A1020_1_02/42914A7A1020_1_02?view=body
小野薬品工業さんのオプジーボに続き、
がん患者にとっては選択肢が増えるという
ことは喜ばしいことです。
日経産業新聞では、これについて、一面で
特集を組んでいましたが、通院回数が、
オプジーボでは、2週間に1回が、キイト
ルーダは3週間に1回、肺がんの場合、
オプジーボは他の抗がん剤の後にしか
使えないところ、キイトルーダは、最初から
使えるのが利点だ、などと書かれています。
さらに新聞によると、2016年1月から6月
までの全世界での売り上げは、オプジーボが
15億4400万ドル(約1606億円)で、キイ
トルーダのほうは、5億6300万ドル(約586
億円)だそうで、オプジーボのほうが全世界
でのがん免疫薬市場の7割以上を抑えて
いるそうです。
キイトルーダは、米国で、オプジーボよりも
3か月早く、2014年9月に、悪性黒色腫
(メラノーマ)に対して承認され、非小細胞
肺がん、頭頚部がんへと対象を広げ、乳がんや
このため、ブリストル・マイヤーズと小野
薬品工業は、メルクを米国で侵害で提訴したり
していますので、日本での承認により、
さらに競争が激化すると思われ、高い高いと
言われている薬価のほうも、競争により
安価になる可能性もあります。
ということで、私のほうでは、メルクさんの
最新の免疫チェックポイント阻害薬の研究
状況を特許出願から調べてみましょう。
(メルクさんは、北米ではMerck、その他の
地域ではMerck Sharp and Dohme(MSD)、
日本の法人はMSD株式会社となり、以下の
出願人は、すべて、Merck Sharp& Dohme
Corp.と、エーザイR&D等、との共願となって
います。
最近も、研究は加熱しているようで、
有効成分は、遺伝子組み換えの、「ペム
ブロリズマブ」なわけですが、上には請求の
範囲を貼り付けていませんが、請求の
範囲に、有効成分として、「ペムブロリズ
マブ」が書かれています。
(上の要約の3番目にも、書かれています)
ちなみに、日本への免疫チェックポイント
阻害薬の、基本特許出願は、以下のように
なっています。
例えば、特許5640052の、詳細な説明の
【0001】の(発明の背景)というところ
には、
「プログラムされたデスレセプター1
(PD-1)は、活性化されたT細胞および
B細胞において主に発現される免疫抑制
受容体である。そのリガンドとの相互作用は
in vitroおよびin vivoの両方でT細胞応答を
減弱させることが示されている。PD-1と
そのリガンドの1つPD-L1との相互作用の
遮断は、腫瘍特異的CD8+T細胞免疫を
増強することが示されており、したがって
免疫系による腫瘍細胞の排除において有益で
ありうる。」
として、免疫薬により、PD-1とPD-L1の
結合をブロックすることの有効性が書かれて
います。
まあ、我々トーシロは、わけがわからなく
ても良いですので、効果があって、安い新薬を、
是非開発して欲しいものです。