知られざる特許の旅第3回で、亀の子
束子について取り上げましたところ、
「米田英夫の姉の孫」さんから、亀の子
束子の話が載っている「特許のかぎ」と
いう書籍があるぞという、貴重な情報を
いただきました。
米田英夫の姉の孫さん、再度の御礼を
申し上げます。
ということで、早速この書籍を購入して
みました。
この書籍は、特許局で審査をおこなって
いた米田英夫さんと高島宗三さんの共著で、
大正10年(1921年)初版発行、大正12年
(1923年)訂正再版、私の購入したものは、
以下のように、昭和5年(1931年)増訂改版
9版です。(古本を検索すると、その後の
増訂改版もあるようです。)
上のように、「高嶋」という押印があり
ますので、著者の高島さんの蔵書だったん
ですかね?
編工業所有権法(産業財産権法)逐条解説)
から抜粋すると(ちなみに、最新版は20版です)、
「我が国工業所有権制度の歴史は、明治18年
の制度創設」(その前に明治4年の太政官布告
第175号の専売略規則もありますが)に始まり、
小さな法改正はありましたが、昭和34年の現行
制度以前は、「現行の工業所有権法は大正
10年に制定され」となっていて、「昭和35年
4月1日施行の現行法は、大正10年以来
約40年振りの大改正である。」となって
います。
(青本の第1版は昭和34年(1959年)8月
1日発行です。)
ということですので、昭和34年の改正以前
には、逐条解説というものはなかった(よう)
ですので、この大正10年初版で、大正10年
新法について解説しているこの書籍は、非常に
貴重なものでは?と思います。
それでは、亀の子束子は、どこに載って
いるのか?というと、実は、初版と第2版の
訂正再版は、国会図書館でデジタル化されて
おり、以下のようになっています。
(同じ名前ですが、上が初版、下が訂正
再版です。)
亀の子束子については、初版、訂正再版
共63ページに書かれていますので、是非
どうぞ。
初版の最後のページは216ページ、訂正
再版の最後のページは234ページとなって
いますが、私の購入した増訂改版は、いろ
いろ付け加えられて300ページとなっており、
この増訂改版はデジタル化されていません。
それはともかく、WEBなどを見ると、専売
特許とか新案特許、と書かれているものが
出て来ることがあるのですが、この書籍では、
この言葉にも触れていますので、ちょっと
抜粋してみましょう。
(現在の漢字、仮名使いに直して抜粋編集
しています。)
「時として、専売特許若しくは新案特許なる
言葉を講演あるいは広告等に見聞することが
あるが、現在の法律にはこれらの言葉は無い
のである。
専売特許というのは、昔の法律で言った
ことで、それが現在に波及して、特許なる
ものの代わりに習慣上使用されているの
だろうと思う。
(注:明治18年の法律は専売特許条例と
いい、明治21年法改正で特許条例、明治
32年法改正で、今の特許法となっています。)
いやしくも、発明考案が新奇を尊ぶもので
ある以上、このごとき旧式の名称もやめたい
のである。
また、新案特許というのはその出所が明ら
かでないが、おそらく実用新案の標記には、
「登録新案・・・号」とすることに規定され
てあるので、その新案を採り、かつ、専売
特許なる語に対して言われたことと思う。
(注:実用新案法という名前は、明治38年
制定以来変わっていません。)」
というこのようですので、昔のおもちゃ
とか機械とかに、新案特許という名称が付さ
れていたら、もしかして実用新案か?とか
思いながら、これからは眺めるように致しま
しょう。