以前にもう一つのブログのほうで、上の
ように、「女相撲用まわし」という特許
登録がされた話をしました。
ここで、女性用のシャレオツふんどしの
話もしましたが、実は、「女性用褌」という
特許登録もありますので、今回はこれを
調べてみましょう。
(前回は相撲の話でしたので、もう一つの
ほうのブログに載っけましたが、今回は
特許の話ですので、こちらの知財ブログの
ほうに載せましょう。)
ということで、早速の特許番号は5416300、
(特開2014-227635)特許出願が2013年5月
24日、早期審査がされて登録日が2013年
11月22日、発明者、及び特許権者は渡邉
和恵さん。
ちなみに、審査官は一ノ瀬薫さんで、
女性の方のようですが、女性用褌なので、
女性が審査したのでしょうか?
(「ばっきゃろー、そんなわきゃねえだ
ろー」という罵詈雑言はスルー致しま
しょう。)
【課題】日本女性は古来より腰巻を愛用し、
下着の西洋化の波に抗っていた。理由は、
陰部に密着し鼠頚部を締める点が不快で
あること。しかし、戦後の軽装化で不快感を
我慢してパンツを取り入れたため、体内の
循環機能が衰えた。パンツにない解放感
から褌が見直されているが、前垂れ部が
かさ張る、腰紐を解いての着脱が手間取る、
布部が偏るなどパンツより不便で外出に
不向きである。
【解決手段】褌布部後端の左端と右端に、
内部に弾性帯を取り付けた腰紐後左と
腰紐後右をそれぞれ取付け、布部前端の
左端と右端にそれぞれ腰紐前左と腰紐
前右を取付けて、装着時は左右の脇で
腰紐前と腰紐後を体のサイズに合わせて
結ぶ。布部は、前端と後端より股間を覆う
部分の幅が狭く、かつ身体の股間より広い
帯状の中央部が括れた形とする。布部が
ずれず、上げ下げが便利になり、陰部への
密着を防ぎ、便利で快適で見た目が良くなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
褌布部の股間を覆う部分の幅が、身体の
股間の幅より広く、かつ腹部を覆う前端部の
幅と背面腰部を覆う後端部の幅より狭く、
帯状の中央付近が括れた形の布部を特徴
とし、かつ筒状内部に、左右対称に弾性帯を
取り付けた腰紐を褌布部の前端左右と後端
左右に取り付け、左右それぞれに前端と
後端の腰紐を結んで装着することを特徴と
した女性用褌。
【請求項2】
布部と腰紐の素材を絹としたことを特徴と
した請求項1に記載の女性用褌。
【請求項3】
布部は、表地と裏地から成る袷であることを
特徴とした請求項1または請求項2のいずれ
かに記載の女性用褌。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、長時間の着用と激しい動きに
おいても、褌布部が中心や左右に偏ったり、
陰部に過剰に密着せず、鼠頚部を締め付け
ず、着脱が非常に不便であった最大の難点を
容易に出来るよう改善して、更に褌布部の
絵柄を崩れず美しく表示し、全体を女性らしい
美観で装着できる女性用褌である。
「ふむふむ、男性用でもしめつけないような
発明をして欲しいもんですな。」
【背景技術】
【0002】
日本の女性にとって、下半身に纏う下着で
あるパンツの歴史は浅い。平安時代を遡る
古代より、日本女性には腰巻が愛用されて
きた。明治の文明開化以降から、大正、昭和の
初期と時代が進むにつれ西洋文化を奨励
する時代背景のもとでさえ、日本の成人
女性は洋装をすれどもパンツ型の下着・
ズロースの着用を避けていた。理由は、
腰巻に比べて陰部などに布が密着する点が
不快であったからだ。通気性が劣り、腹部と
背面を繋ぐ布地が着用者の股間に過剰に
密着する不快感とズロースの端の開口部が
太ももや鼠蹊部を締める不快感があったから
である。しかし戦後の復興期から軽快な
洋服が広まり、下着にパンツが普及した。
パンツは、コンパクトな点が外装の美観を
崩さず、風で裾がまくれあがっても陰部が
覆われ安心できるからである。羞恥心を
尊重した反面、不快感を黙認してきた。
「ふむふむ、陰部が安心するわけですな。」
【0003】
その結果、腰巻を愛用していた時代の
日本女性に比べて、現代女性の体の機能は
衰えた。パンツの裾の開口部のゴム紐などが
締める鼠頚部や太腿にはリンバ管や血管、
東洋医学でいう経絡が通っており、それらを
紐やゴムで締め付けることは、体内の循環を
阻むことになり健康に悪影響を及ぼす。
腰巻を使っていた時代の女性は、骨盤底筋を
引き締めることで月経血をコントロールでき
たほど筋力が強かった。一方、現代女性は
月経時、生理用ナプキンに依存するのが
標準的となっている。他にも冷え性、肥満、
便秘、生理不順・生理痛・不妊症・月経前
不定愁訴などの婦人科系など体の不調、
体力と気力の衰えは、パンツによる鼠蹊部の
締め付けが一因と考えられる。洋装の美観を
崩さない、且つ体内の循環を阻まず、着脱が
便利で、美しく爽快な下着が望まれている。
「ほうほう、女性の便秘は腰巻じゃなく
なったせいですかー。」
【0004】
近年、古代から日本の男性が使用していた
褌が見直されてきて、女性用としても普及して
いる。通気性が良く、鼠頚部を圧迫せず爽快と
いう理由である。褌には主に2つの型がある。
その1つの越中褌型は、腰紐とその中央から
T字状に接合した帯状の布部から成る。
体の背面腰部に褌の中心を当て中心から
垂れ下がる帯状の布部を股ぐらを通し、腹部に
当てた上から左右の腰紐を結び、残りの布の
前端部を左右に張って垂らす。しかし、長時間の
着用と激しい動きで正面に垂らした布が左右に
偏ったり、前後に弛んで外れたりした。また、
用便をたす時など着脱を繰り返す場合、布部の
扱いが困難であった。先行技術として褌の
前垂れと腰紐と身頃が縫製により一体成型と
して、ブリーフのように上げ下げができ、ずれ
ない考案がなされた。
「うちのおやじも越中ふんどしでしたが、
何がいいのか、聞いておくべきでしたな。」
【0005】
しかし、前垂れの分だけ従来のパンツよりも
ボリュームが増えて、衣服の下に着用すると、
シルエットに影響する。スリムな外観を望む女性
たちには不向きである。そこでもう一つの、
もっこ褌型が注目され、製品として普及している。
もっこ褌型とは、長方形の褌布部の前端と後端の
折り返しの縫い代が腰紐を通せるようにチューブ
状になっており、前端と後端を合わせて二つ
折りにして、一本の腰紐の両端を布部の前端と
後端のチューブ状の内部へ左右同じ側から
挿入し、反対側に出た腰紐の両端を装着時、
片側の脇で結ぶものである。こちらは、越中
褌型と違い、前垂れ部の布が無いのでかさ
張らない。しかし、腰紐が挿通する布部が
中心に偏ったり、左右にずれるなどして着心
地が悪い。そこで先行技術では、布部の後端の
挿通させた腰紐を固定する考案がなされた。
しかし、一日に何度にも及ぶ用便を足す際
など、脇で結んだ腰紐を解いて褌を下ろし、
用便を済ませて再び腰紐を結ぶことを繰り
返さねばならず、非常に面倒である。しかも、
布部前端のチューブ状の挿通部の中に
腰紐の先端が潜り込んだり、抜け出てしまった
場合は、修復することが困難である。
また、後端は腰紐が固定されているが、腰紐を
固定していない前端は、布部が中心に偏ったり
左右にずれたりして不快である。
また、布部が長方形で布幅が一定であるため、
覆われる体の部位によって、布の幅への過不足
感が生ずる。
更に、布部の後端左右は、腰紐に対して
直角を形成して臀部を覆うので、見た目が
粗野であり、女性用の下着に不向きである。
「ふむふむ、ということで、課題の解決に
つなげたわけですな。」
この出願は代理人を使わず出願され、
明細書もしっかり書かれており、さらに
実施例では着脱の容易度、安定感等いろ
いろの比較がされており、2度の拒絶理由
通知書にもお一人で意見書や手続き補正書に
より対応し登録に漕ぎつけていますので、
ご立派!!(代理人泣かせ??)
なお、【権利譲渡・実施許諾】というところ
では、「特許権者において、権利譲渡・実施
許諾の用意がある。」と書かれており、まだ
登録は抹消されていませんので、実施許諾
等がされているんでしょうか?(包袋を取り
寄せていないので、詳細はわかりませんが。)
このような昔からある枯れた技術とも思わ
れるものでも、発明、登録がされるのです
から、目からうろこですね。