何だ?「AgIC」って?というところ
ですが。
AgICさんの本名?は、「AgIC株式会社」、
設立が2014年1月、社長さんは清水信哉
さん、本社は東京本郷、資本金6,520万円、
事業内容は電子回路のプロトタイピング
ツールの開発・製造という会社です。
(HPの資本金は、上記となっていますが、
2015年1月に、借入と第三者割当増資に
よる調達で、合わせて約1億円を調達して
いますので、現在は、もう少し資本金が
多いかも知れません)
この企業は、「導電性の紙に書けるインク
を発売しているんだ」ということで、結構、
テレビなどで取り上げられており、紙に
線を引いて、その線の端に豆電球を付けて
電池をつなぐと、豆電球が光るので、
「へー」などと、出演者が驚くお約束に
なっています。
実は、紙に書けるインクというのは、この
企業さん独自のものとか目新しいものでは
なくって、導電性インクを使うのはもちろん
ですが、キモは、東大の川原先生等が開発
した、以下の、家庭用のプリンターで簡単に
回路を印刷できる技術なんです。
試しに、WEBで「導電性インクペン」と打ち
込むと、ほかのメーカーさんもいろいろ出て
きますし、この導電性インクを供給している
三菱製紙さんの製品も出てきます。
http://diamic.jp/shop/item/circuitry-marker/
ということで、AgICさんは、手軽に専用紙に
電気回路をプリントできる技術やその応用の
開発をおこなっているわけですが、どんな
開発をおこなっているのか特許出願を調べて
みましょう。
川原先生からの印刷技術についての出願は
ないのですが、AgICからの出願が現時点では
1件だけありますので覗いてみると、出願は
2014年1月、特開2015-135901「組み換え
回路装置、回路部品ユニットおよび印刷用
画像データのデータ構造」となっています。
従来から導電性のインクを用いて、基板上に
インクジェット方式によりパターンを形成する
技術などあるんですが、このようなインク
ジェット方式により形成されたパターンは
導電膜を固化するための加熱処理が必要で
あったり、インクジェット印刷装置も
高価な、専用のものが必要だったんです。
これに対し、近年、銀ナノ粒子を使用した
インクの開発などにより、市販のインクジェット
印刷装置を利用して、紙や樹脂フィルムなどの
シート状印刷媒体上にインクパターンを印刷
する技術が川原先生等により研究され、加熱
などの後処理を要することなく、迅速かつ
低コストで導電パターンを形成する技術が
開発されたんです。
したがって、これを現実のものとすべく、
また、複数の回路部品を実際に組み合わせて
接続することにより電子回路の仕組みや
動作を確認するための教育的用途や、
電子回路の試作の用途などのために、
複数の回路部品ユニットを有する
導電パターンシート上で、複数の回路部品
ユニットから選択した回路部品ユニットを
着脱可能に載置することにより、所望の
電子回路を構成することができる組み替え
回路装置、回路部品ユニットおよび印刷用
画像データのデータ構造を開発したんです。
ということで、AgICさんのホームページに
あるように、AgICさん、回路マーカーや、
回路インクカートリッジ、専用用紙を販売
しているんです。
(プリンターは、どのメーカーのものでも
良い、というわけではなさそうですが)
ということで、AgICさんは、これから
いろいろ開発して行くんでしょうが、
じゃあ、そもそも導電性インクなどは
どうなってんだ?というのをちょっと
調べてみましょう。
技術分類で、導電性インクってある
のか?というと、IPCやFIでちゃんと
あるんです。
ただし、IPCやFIではインクではなく
って、導電性イン「キ」となっていて、
C09D11/52(2014.01)となっています。
見てもらうとわかりますが、2014年の
1月に新設されたものですので、これで
検索すると古いものは出ないんです。
それでは、Fタームではないかいな?と
いうと、4J039EA24が「導電性インキ」
なんですね。
ということなので、得意の「いいかげん
検索」で、上の技術分類で検索すると、
昔から、セイコーエプソンとか、東洋
インキ、パナさん、富士写真フイルム、
などなど、いろんなところで研究されて
います。
AgICさんで使用しているインクは、
銀ナノ粒子インクというもので、以下の
三菱製紙株式会社でいろいろな製品が
でています。
さらには、日本電子回路工業会からも、
ちなみに、三菱製紙さんの特開2013-
104019「導電性インク組成物」などを
見ると、水性媒体中に、硝酸銀等の
からなる天然ポリマーの存在下で水酸化
還元した後にセルロース類を分解する
ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、
キシラナーゼ、なーぜ?なーぜ?等で
(「なーぜ?なーぜ?」というのは
うそです)酵素処理して得られた
銀超微粒子と、アルギン酸および
その塩から選ばれる化合物を含有
させるんだ、などと書かれています。