この前、以下のように、東洋アルミさんの
ハスの葉を応用した撥水技術について、
取り上げました。
このハスの葉の技術を応用したコンクリートを、
清水建設さんが開発したという記事が新聞に
出ており、どこかの?守衛ボックスに使われて
いるという話でした。
調べると、以下のように、清水建設さんと、
東洋アルミさんで、共同開発しましたよーと
いう発表が、昨年されていたんですね。
バイオミメティクス技術によりコンクリートの美観を向上/ニュースリリース2015年−清水建設
ということで、早速どんな技術なのか特許
出願から調べてみましょう。
上記の2社の共同での出願は以下の2件に
なり、まだ審査はおこなわれていないようです。
わかりやすいのは、特開2016-008405の
ほうですが、両方とも見てみましょう。
・ 特開2015-193245「コンクリート成形用型枠
およびその製造方法」
【課題】
優れた離型性能を持続的に発揮できるとともに、
繰り返し使用が可能で、成形後のコンクリート
表面の意匠性を向上することができるコンク
リート成形用型枠およびその製造方法を提供
する。
【解決手段】
コンクリート成形用の型枠10であって、型面
20の少なくとも一部に、疎水性酸化物微粒子
から形成される多孔質層18を備えるようにする。
ここで、疎水性酸化物微粒子が疎水性シリカ
からなるようにしてもよく、疎水性シリカがその
表面にトリメチルシリル基を有するようにしても
よい。
・ 特開2016-008405「コンクリート成形用型枠
およびその製造方法」
【課題】
コンクリート表面の空気あばたの原因となる気泡を、
より確実に低減することができるコンクリート成形用
型枠およびその製造方法を提供する。
【解決手段】
コンクリート成形用の型枠10であって、型面20の
少なくとも一部に、水に対する接触角が130°以上
の撥水層22を備えるようにする。ここで、撥水層
22は、疎水性酸化物微粒子から形成される多孔
質層であってもよく、さらに型面20と多孔質層との
間に、充填粒子含有層や下地層を介在させても
よい。
以下は、詳細な説明を抜粋編集したものです。
「木製、金属製、プラスチック製などの型枠が使用
される。この型枠にコンクリートを打ち込んだ際、
コンクリート硬化後に型枠が容易に外れるように、
一般的には、型枠に予め離型剤が塗布される。
古くから使われてきたのは、軽油あるいはマシン
油に軽油を混合した油性の離型剤であり、最近
では、添加剤として植物油や脂肪酸エステル・有機
酸を混合したものが開発・使用されている。また、
鉱油を、アニオン性界面活性剤を用いて水に乳化
分散させた水性の型枠剥離剤も開発されており、
一般に油性のものより、コンクリート表面の仕上
がりの色が白く、コンクリート表面の空気あばたの
原因となる気泡(型枠の表面に接する気泡)が少
ないとされている。油性のものに比べ、水性のものは
型枠への付着力が弱く、離型性に劣るとされているが、
最近では、離型性も高いとされる水性剥離剤も開発
されるようになってきた。」
「 しかしながら、表面気泡の抑制効果があるとされ
るものでも、下地となる型枠の状態やコンクリートの
種類、打ち込み方法に左右され、十分な効果を発揮
できていないのが実情といえる。そこで、このような
問題に対処するようにした従来の技術として、
コンクリート表面の気泡抜き取り器具が提案されて
いるが、施工のタイミングが難しく、かえって美観を
損ねることもある。また、消泡剤を型枠に塗布して、
表面気泡を消去する方法や、水との接触角を
45度以下として表面を平滑面にしたコンクリート
型枠用養生シートも提案されているが、その効果は
定かではない。」
「上記した課題を解決し、目的を達成するために、
成形用の型枠であって、型面の少なくとも一部に、
水に対する接触角が130°以上の撥水層を備え
ることを特徴とする。
また、本発明に係る他のコンクリート成形用型枠は、
上述した発明において、撥水層は、疎水性酸化物
微粒子から形成される多孔質層であることを特徴
とし、コンクリート成形用の型枠であって、型面の
少なくとも一部に、水に対する接触角が130°以上
の撥水層を備えるので、型面の表面張力が撥水層
によって著しく高くなることで、打ち込み時に巻き
込まれたコンクリート中の気泡が撥水層の表面に
接した際に、この表面に沿って広がりやすくなり、
コンクリート表面の気泡は従来よりも表面に沿って
薄く、平べったいものとなる。しかも、この気泡は、
小さな振動で上昇してコンクリート表面から抜け
やすくなり、コンクリート表面の空気あばたの原因
となる気泡を、より確実に低減することができると
いう効果を奏する。」
ということで、以下のように、軽く振動させた
だけで、気泡が表面から抜けるそうです。
新聞には、水滴との接触角が150度以上が
良いと書いてありましたが、請求項5では
そのようになっています。
【請求項5】
撥水層は、水に対する接触角が150°以上
のものであることを特徴とする請求項1~4の
いずれか一つに記載のコンクリート成形用型枠。
素人考えですが、泡がコンクリの中に留まって
しまい、強度が低下したりしないのでしょうか?