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特許検索海外編 8 海外特許検索DB「The Lens」の説明、本邦初公開??? その1

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 海外特許検索方法では、Patentscopeの

使い方を勉強しているわけですが、ご存知の

ように、海外特許検索では、EPOのespacenet、

USPTO、この前書いた、Google、プラピ

(J-PlatPat)さんから入れる特許庁の、FOPISER

中韓文献翻訳・検索システムなどがあるん

です。

 

 また、結構優れものの、こいつはどいつだ?と

いう、DEPATISnetなどがありますね。

(DEPATISnetはそのうち使い方を書いてみま

しょう。(私は、勝手に、デパ地下ネットと呼んで

いますが。))

 

 ということで、この前、ちょっと書いたLensに

ついて、今回は深く掘り下げて行きましょう。

(この検索DBの説明をWEBで検索しても、日本語で

説明されたサイトはまったく出てきませんので、

日本語での説明は、私が本邦初公開??かも。)

 

 Lensの正式名称は、「The Lens」。

 

 一言で言えば、タダで使えて、100か国近くの

特許庁データを検索してくれ(US等はちょっとの

タイムラグはあるものの、ほぼ100%検索可能です。

ただし、日本の特許を日本語でも検索できますが、

プラピさんの代わりに検索できるか、というと、

これはまだまだヒット率は低いですが、日本の

公開公報を英語で検索すると、翻訳のタイムラグが

あるため、直近のものはヒットしませんが(3か月

程度のタイムラグ)、それより古いものは結構精度

よくヒットしてくれます。)、簡単なパテント

マップも提示してくれ、検索結果は履歴で残せ、

後で再度表示させることができるデータベースです。

(このようなパテントマップ機能は、espacenetや

USPTOのPatFTやAppFTにはありません)

 

 このような機能が付いているのに、なんで

タダなんだ?というところで、

 

「なーんでか」

(漫談の、堺すすむさんの口調で読んでください)

 

「それはねっ、非営利団体が運営しているからっ。」

 

 ということなのですが、非営利団体(CAMBIAと

いう団体です)が運営しているったって、どこから

そんなお金が出ているんだ?というと、NGO、大学、

USPTO、財団法人、オーストラリアICTリサーチ

センター(NICTA)、企業などが支援しているから

なんです。

 

https://www.lens.org/about/which/

 

 この運営スタッフは以下となりますが、Chief

Espresso Officerまでいちゃったりするんです。

 

https://www.lens.org/about/team-members/cambia/

 

f:id:oukajinsugawa:20160708075522j:plain

 

 このDBの沿革はどうなんだ?というと、

最初は、アグリ・バイオ関係で1997年に

発足し、2001年1月に特許文献約1,000万件の

検索DB「The Patent Lens」としてスタート

したんです。

 

 この後、2001年6月には、USPTO、オース

トラリア(CAMBIAの本拠はオーストラリア

です)、EPOWIPOの特許検索ができる

ようになり、徐々にデータ数を増やし、

EPOのDocDBも利用しているため、現在は、

以下のような特許関係を検索できるように

なっています。

(以下は、

https://www.lens.org/about/what/

から抜粋貼り付け。)

 

f:id:oukajinsugawa:20160708075618j:plain

 

 以下は、DB内の現在の構成で、赤枠をいろいろ

変えて、マウスをグラフに置くと、それぞれの数量が

表示されます。

(最初のJurisdictionsというのは、管轄特許庁です)

 

https://www.lens.org/lens/

 

f:id:oukajinsugawa:20160708075704j:plain

 

 尚、分析されたパテントマップの例は以下の

ようになりますよ。

 

https://www.lens.org/lens/search?p=0&q=malaria&v=analysis#f/applicant

 

f:id:oukajinsugawa:20160708075754j:plain

 

 上の赤枠で囲ったマークをクリックすると、

大きなパテントマップで見ることができますし、

マウスを棒グラフの上などに置くと、表示が

出てきます。

(上の貼り付けた図では、クリックしても、

もちろんダメですので、各自、上のURLで

試してみてください)

 

 ということで、話は前後しますが、最初の

Patent Lensではこのような分析機能がなく、

検索機能だけで、しかもアグリ・バイオ関係

だけだったのですが、2004年の7月に、

ライフサイエンス分野も検索できるように

なり、2006年2月にはすべての分野が検索

できるようになったんです。

 

 その後、いろいろなフィーチャーが追加

され、ついに、2013年1月に新プラット

フォームでの「The Lens」となり、(被)引用

文献、法的状態、分析マップなどが使える

ようになったんです。

 

 ということなのですが、この「The Lens」も、

まだまだ進化を続けるベータ版で、以下の

ように、常に小幅なバージョンアップがされて

おり、現在は特許だけの検索ですが、次の大幅

バージョンアップでは、論文等も検索できる

システムとなる予定です。

 

https://www.lens.org/about/news/category/release-notes/

 

 この「The Lens」は、もともとが、アグリ・

バイオ系で始まりましたので、これらの分野の

検索に特に優れており、現在では、USFDA

(Food and Drug Administration)、NCBI

(National Centerfor Biotechnology Infomation)

GenBankなどとリンクしており、DNAやゲノム、

蛋白質アミノ酸配列情報などの特許情報検索にも

優れており、さらに、論文などの優秀度は、

被引用回数に表れているという考えから、

これらの文献検索にも力を入れています。

 

 この検索DBの優れているところは、自分の

検索式や検索結果を残せ、再度使用できること、

検索するだけで、簡単な分析結果(発明者や

出願人はどこが多いか、時系列での公開件数、

どこの特許庁への出願が多いのかなど)が瞬時に

出てくること、検索結果を単独結果とファミリー

単位で切り替えることができること、検索

結果をエクセル形式(csv)でダウンロード

できること、などではないかと思います。

(要約はダウンロードされないため、Patentscope

などとの併用が良いでしょう。 また、無料の

DBですので、商用分析ソフトのような自由度は

ありませんが、検索するだけで、概要を把握

できますので、分析ソフトを持っていない方

には重宝なのでは?)

 

 ということで、海外検索には優れもので、

「れ~~んずはつ~づく~~よ~~、ど~~こ

ま~で~も~」

(「線路は続くよ」の節で歌ってください)

 

 おれんずさんの、第1回でした。

 

 じゃんじゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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