前回の続きです。
前回は、エクセル関数を使い、所望の
キーワードが含まれる文献に丸付けした
わけですが、今回は、マクロによりセル内の
所望のキーワードのみに色付けする方法を
調べてみましょう。
まずは、マクロってなんじゃい?という
わけですが、今回はマクロの詳細を説明
するのが趣旨ではありませんので、詳細を
知りたい方は、WEBなどを検索して勉強
していただければと思いますが、簡単には、
マクロというのは、作業の自動実行、すな
わち、セルを選択しーの、文字を選択しーの、
その文字に色付けしーのなどの手作業で
おこなう処理を、自動で一括して実行して
くれることを言い(自動実行プログラムの
ことをマクロと呼ぶこともありますね。)、
このプログラムを書く言語をVBA(Visual
Basic for Application)、このVBAで
マクロを編集する場所や編集するツールを
VBE(Visual Basic Editor)と呼んでいます。
ということで、まずは、マクロ作業をおこ
なうために、この前と同じように、「まっくろ
クロすけ出て来いやー」と叫ぶわけですが、
このままでは、何もしていないと、「クロ
ちゃんでーす」とクロちゃんは出て来ない
わけでして。
まずは、クロちゃんにマクロをお願いでき
るかどうかを調べるために、何でもよいです
ので、エクセルを開いてみましょう。
ここで、以下のように、どこにも「編集」と
いうタブがない場合には、クロちゃんが
作業をしてくれません。
(下はエクセル2010で説明しています)
このような場合には、以下のようにして
クロちゃん環境を作りましょう。
ファイルをクリックして以下のように表示
させましょう。
次に、「オプション」をクリックしましょう。
次に、「リボンのユーザー設定」をクリックしま
しょう。
次に、「開発」にチェックを入れて、OKを
クリックしましょう。
そうすると、以下のように開発タブが現れ、
クロちゃんに作業をしてもらう環境が整い
ましたので、所望のキーワードだけに色付け
する方法を調べて行きましょう。
前回の例では、
① 要約の中の「多孔質」
② 請求の範囲の「固体電解質」
を選んでいます。
まあ、マクロの実行には、完全自動に
することもできますが、エラーが出た場合
にもパープリン王花陣が慌てないように、
はたまた、汎用性が効くように、非常に
簡単なマクロ処理に致しましょう。
1 要約に「多孔質」の文字が含まれていれ
ば、青色付けし太字にするマクロ処理
Sub 要約の多孔質()
Dim KW As Range '変数はKW
For Each KW In Range("D2:D141") 'セルD2からD114まで繰り返し
r = InStr(KW, "多孔質") 'キーワード多孔質が含まれる文字までの数をカウント
If r <> 0 Then '多孔質が含まれていれば次の処理
With KW.Characters(r, 3).Font '多孔質の最初の文字から3文字まで以下の処理
.ColorIndex = 5 '文字を青色にする
.Bold = True '文字を太字にする
End With '文字色付け等終了
End If '文字処理終了
Next '次のセルの処理
End Sub 'マクロ処理終了
2 請求の範囲に「固体電解質」の文字が含ま
れていれば、赤色付けし太字にするマクロ処理
Sub 請求の範囲に固体電解質()
Dim KW As Range '変数はKW
For Each KW In Range("E2:E141") 'セルE2からE114まで繰り返し
r = InStr(KW, "固体電解質") '固体電解質が含まれる文字までの数をカウント
If r <> 0 Then '固体電解質が含まれていれば次の処理
With KW.Characters(r, 5).Font '固体電解質の最初の文字から5文字まで以下の処理
.ColorIndex = 3 '文字を赤色にする
.Bold = True '文字を太字にする
End With '文字色付け等終了
End If '文字処理終了
Next '次のセルの処理
End Sub 'マクロ処理終了
てなことに致しましょう。
(今回は、特許調査が目的ですので、
マクロ詳細を知りたい方は、WEBなどで
調べてみてください。)
それでは、先ほどのエクセルを開き、
「開発」タブをクリック致しましょう。
次に、「Visual Basic」をクリック致しましょう。
そうすると、以下のようになると思います。
次に、「VBAProject」を右クリックして、
挿入から標準モジュールを選択し、クリック
しましょう。
そうすると、以下のように、新しくModule1と
いうのができて、右側にまっさらな画面(コード
ウインドウと言います)が現れます。
このコードウインドウに、先ほどのマクロ
処理を貼り付けましょう。
(先ほどのプログラムは文字数の関係で、
途中で改行がされているところがあります
ので、貼り付けてから、以下のようになって
いるか確かめて、もしなっていなかったら、
以下のように改行がないようにしてくだ
さい。)
ということで、クロちゃんに作業を
行ってもらえるようになりましたので、
ホームタブで普通のエクセル画面にして、
前回のように、特許関係データをコピペ
しましょう。
(私の説明では、クロちゃん環境を整え
る説明のため、まっさらエクセルにて
説明しましたが、最初に特許関係データを
コピペしてから、マクロプログラムを貼り
付けたり、処理を行ったほうが早いで
しょう。)
ということで、再度開発タブをクリック
して、以下の画面にして、カーソルを実行
したいマクロ処理に移動して、以下の実行を
クリック致しましょう。
(これ以降は、違うPCで作業したため、
エクセル2013です。 すんません!!
尚、マクロ処理の実行は他の方法があり
ますので、念のため)
これで、要約の中の「多孔質」の文字が
太字になり色付けされます。
次に、請求の範囲のほうも、同じように
請求の範囲のマクロ処理にカーソルを持っ
て行き実行をクリックすると、太字になり
色付けがされます。
ということで、さらにキーワードを増やし
たり、キーワードを代える場合には、マクロ
処理プログラムをコピーペーストして、書き
換えて実行してください。(新しいものは、
そのままではエラーになりますので、Subの
次のルーチン名を新しく作ってください。
参考:色は、WEBで検索すると、色コード
がいろいろ出てきます。
(今回は少ない色で色付けする方法にして
いますが、さらに多くの色でも可能です)
というように、色付けや選別をしてから、
要約などを読んだほうが工数を削減でき
ます。
さらに内容を読み進めるうちに、新たな
キーワードが見つかったりした場合には、
同じように、再度、選別丸付け、色付け
することにより、すでに読んだ文献に
同じキーワードがなかったっけ?などと
再度読む必要がありませんし、このサイ
クルを回すことにより、一度のダウン
ロード文献で、最終的に、同じキーワード
分類でのポートフォリオ化ができますよ。
また、通常、検索する場合、要約に含ま
れるキーワードで検索をかける場合が多い
ですが、要約に含まれるキーワードは、
論文などと違い、重要なものが含まれて
いることはあまり多くなく(私見です)、
さらに、権利範囲は請求の範囲ですので、
特許分類などで広く検索をかけたもので、
請求の範囲もエクセルに落とし込み、
エクセル内で、さらに特許分類で選別丸
付けをおこない、この母集団ごとに、
請求の範囲でキーワード選別するのが
工数が少なくもっとも漏れが少ない調査
方法ではないかと思います。
(先行文献に書かれていればアウチ!と
いうことを考えれば、一番良いのは、
詳細な説明も含め調査することですが、
言うは易し、行うは難し???)
ちなみに特許庁審査官(外部委託機関)
の調査方法は、以下をどうぞ。
今回は、日本の特許関係で説明しまし
たが、外国文献、論文でも同じように
作業ができますので、試してみてください。
注:
エクセルを開いたときに、「セキュリティの
警告 マクロが無効にされました」という
文言が最初出て来ることがありますので、
ウィルスがないことに確信が持てる場合には、
「コンテンツの有効化」をクリックして
ください。