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Channel: 知財アナリストのひとりごと
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インスタントラーメンって日清食品の発明だそうですが、それ以前は同じような発明ってなかったんですか?

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 「はい、お答えいたしましょう。」てなわけで、

「お答えいたしましょうシリーズ」なわけでして。

 

 以前に、安藤百福さんと張国文さんの発明に

ついて以下のように取り上げました。

 

oukajinsugawa.hatenadiary.jp

 

 それではこれ以前に及びこの時代に、同じ

ような発明はなかったのか?というのを今回は

調べてみましょう。

 

 ところで発明というのは、特許法では、第2条の

定義というところで、「自然法則を利用した技術的

思想の創作のうち高度のものをいう。」と定義され

ています。

 

 我々は単に「発明」とひとくくりで話をしていま

すが、法律では、この「発明」のほかに、「考案」と

いうのも用意されており、これは実用新案法で定義

されており、実用新案法の第2条では、「自然法則を

利用した技術的思想の創作をいい」、第1条で、

「物品の形状、構造又は組合わせに係る」ものが

考案ですよーと書かれています(編集しているため、

正確な定義を見たい方は条文を参照してください。)。

 

(上記の実用新案法の条文はいわゆる現在使われ

ている昭和34年法から抜粋しており、最初に制定され

明治38年法では多少文言が異なりますが、まあ

こんなもんだということで読んでください。)

 

 ということで、昔の発明はどんなものがあったのか?

というのを調べるのに発明だけを調べるのは片手

落ちになると思いますので、発明と考案を調べる

ことに致しましょう(一般的にはあんまり関係ない

ですが、弁理士的には重要なのでこだわって書いて

います。

 

すんません。

 

f:id:oukajinsugawa:20190228085230j:plain

   

 

 ちなみに、前回書いたように、発明のほうは

昭和50年に改正されるまで食べ物が特許化されず、

方法でしか特許を取ることができませんでしたが、

逆に考案のほうは昔から(今でも)方法では登録を

受けることができません。

 

 これから、特許出願と実用新案登録出願を検索

してみますが、結果を見るときには、上を思い出し

ながら見てください。

 

 今回は、いきなり結果を見るのではなくて、まずは、

どのように調べるんだ?というのから見て行きましょう。

 

 まずはおなじみのプラピさん(J-PlatPat)にお願い

するわけなのですが、2018年3月に機能が新しく

なって、昭和46年以降に発行された公報からキー

ワードで検索してくれるようになりました。

 

 しかし、依然としてこれより前のものはテキスト検索

できず、チキンラーメン昭和35年の出願公告です

ので、やはりテキスト検索はできません。

 

 それではどのように調べるんだ?というと、安藤さんと

張国文さんの出願公告がわかっていますので、ここから

出願公告日を拾い出すと、両方とも昭和35年11月16日

であるのがわかります。

 

 そこで、これを用いて以下のように入れてみましょう。

(やりかたはそのほかにもいろいろありますが、これは

1例です。)

 

https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tjk/tokujitsu/tjkt/TJKT_GM201_Top.action

 

f:id:oukajinsugawa:20190228085430j:plain

f:id:oukajinsugawa:20190228085502j:plain


 

 安藤さんと張国文さんの公告番号は16974と

16975でしたので、これのFIを見ると両方とも

A23L1/162とA23L7/113であるのがわかります。

 

 それではそれではということで、このFIは

なんじゃい?ということでパテントマップ

ガイダンスを見てみると、以下のようになります。

 

https://www5.j-platpat.inpit.go.jp/pms/tokujitsu/pmgs/PMGS_GM101_Top.action

 

 

f:id:oukajinsugawa:20190228085605j:plain

 

 ということで、途中は省きますがどんどんクリック

していきA23Lをクリックすると以下のように、「あん

れー23L1なんてねーじゃん。とんでもはっぷん。」

(古いですね。)となるわけです。

 

f:id:oukajinsugawa:20190228085631j:plain

 

 この場合には、「ふむふむ、きっとFIが改正されて

るんだな?」などとつぶやきシローさん状態で前の

画面に戻ると、「FI改正情報」というのがあります

ので、「しめしめ。」とか言いながらこれをクリック

致しましょう。(ほかの方法もあります。)

 

f:id:oukajinsugawa:20190228085702j:plain

 

 これをずーっと下のほうまで見ていくと、

以下のように、A23L1/162というのがあって、

半ゆでやインスタントのものであり、改正された

ものはA23L7/113であることがわかります。

 

f:id:oukajinsugawa:20190228085746j:plain

 

 最初にFIを調べたときにA23L1/162と

A23L7/113でしたので、古いものと新しい

もののFIがリストアップされていたんですね。

 

 ということで、内容がわかりましたので、安藤

さんと張国文さんの出願は1958年と1959年

ですので、今回は出願で1960年までを調べること

にして以下のように入れましょう。(FIは片方

だけ入れても大丈夫ですが、念のため両方での

論理和を取っています。)

(ちなみに今回は1961年からは調べませんが、

調べるとこれ以後、即席めんの出願は増加

します。)

 

f:id:oukajinsugawa:20190228090357j:plain

f:id:oukajinsugawa:20190228085935j:plain

 

 そうすると18件以下のように出てきました。

(漢字は今のものに直しています。)

 

f:id:oukajinsugawa:20190228085907j:plain

 

 安藤さんは、義母さんが出願人のものと、

呉百福さん名義のものがあることがわかります。

 

 呉百福さん名義の発明の1ページ目は以下の

ようになりますよ。

 

f:id:oukajinsugawa:20190228090018j:plain

 

 それでは、明治時代に出願された(明治43年

常盤麺というのはどういうものかというと、乾麺、

味の素、海苔、乾醤油などを乾湯葉で包み、これに

お湯を注ぐだけで食べられるもので、明治時代から

インスタント麺があったんですね。

 

f:id:oukajinsugawa:20190228090059j:plain

  

 また、特公昭31-008673「携帯用即席味付麺類

製造法」の1ページは以下のようになっています。

 

f:id:oukajinsugawa:20190228090127j:plain

 

 ということで、最初の答えに戻ると、安藤さん

より前の明治時代からお湯を注いですぐ食べられる

即席めんのアイデアはいろいろありましたが、

先人たちがこれらに改良に改良を重ね、おいしい

即席ラーメンに仕上げてくれたというところですね。

 

 さてと、今日の昼飯は、先人達に感謝しながら

日清シーフードヌードルにライスを付けて、ラーメン

ライスに致しましょう。(炭水化物ばっかりですね。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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