このブログでも、いろいろな痛く
ない注射針の話を取り上げていますが、
蚊が血を吸い上げるメカニズムを応用
しようという研究は結構多いわけでして。
これを応用した、ライトニクスさんの
ピンニックスライトや、この技術を提供
した関西大学の青柳誠司先生の特許に
この前簡単に触れましたが、さらに、
青柳先生の特許からどんな技術開発が
おこなわれているのか調べてみましょう。
まずは、蚊の吸血メカニズムは以下の
ようになっているそうで。
(http://s-park.wao.ne.jp/archives/854
から抜粋貼付けさせてもらっています)
吸血針は注射針のように一本の鋭い
針となっているのではなくて、真ん中の
吸血針の周りに2本のギザギザの針が
ついており、これが交互に動き、小さな
穴を掘り進めて行くために、普通ですと、
皮膚が引っ張られ痛点にも痛みを感じる
ようになるのですが、皮膚が引っ張られ
ないために、痛みが少なくなるそうで。
(針はトータル7本あるそうですが)
まずは、青柳先生の特許5835944号
「穿刺ユニット」、発行日2015年12月
24日という登録ほやほやの技術を見て
みましょう。
要約を見てみると、
課題は、「患者に対して投薬や採血を
行う際に痛みをより低減した状態で穿刺
できる穿刺ユニットを提供する。」ことで、
解決手段は、「流体が流通可能に筒状に
形成され、患者に対して穿刺可能に形成さ
れた針本体10と、針本体10と同方向に
延びるように形成され、針本体10の径方向の
外側に並設され、患者に対して穿刺可能に
形成された補助針20と、針本体10及び
補助針20を軸心方向に往復動させるアクチュ
エータ30と、アクチュエータ30の動作を
制御する制御手段40とを備える。
補助針20には、針本体10と対向する
面とは反対側の面の少なくとも先端側に
突起部21が設けられている。制御手段40は、
補助針20を軸心方向に押し出しつつ針
本体10を軸心方向に引き込んだ後、針
本体10を軸心方向に押し出しつつ補助針
20を軸心方向に引き込む動作を少なくとも
一回行うようにアクチュエータ30を制御
する。」んだそうで、蚊の針で掘り進む
メカニズムがまさに応用されています。
しかし、このような細い複雑な針を
作製するのは困難と思われますので、
特許5613493号で「微細針を作製する
ための鋳型の製造方法および微細針の
作製方法」でも特許登録されており、
課題は、「複雑な形状を有する微細針を
作製するための鋳型の製造方法および
微細針の作製方法を提供する。」ことで、
解決手段は、「先鋭状の先端部130を
有する、シリコンで形成された針模型100を
シリコン基板140に固定するステップと、
前記シリコン基板140の前記針模型100を
固定した面側に鋳型材料を堆積するステップ
と、前記シリコン基板140および前記針模型
100を除去するステップとを備える。」んです。
さらには、まだ登録されていませんが、
特開2015-54057「座屈防止シート
及び穿刺器具セット」として、「極細針は
強度が弱いため、穿刺した対象物の表面や
内部で折れ曲がる(座屈する)ことがあり、
目的の位置まで穿刺できないおそれが
あるという問題があった。」ため、
解決手段として、ヤング率が0.007M
Pa以上20.0MPa以下であるシート体を
備え、前記シート体は、極細針を対象物に
穿刺する際に、前記対象物の穿刺する
表面に配置され前記極細針が内部を
貫通する。」ようにしているんです。
この青柳先生、最近では、ロームさんと
組んで、特開2015-220836「発電装置」や
特開2015-138930「エレクトレットと
その製造方法、並びに、これを用いた
発電装置」としてMEMS技術を使った、
環境中の微小振動から発電する、発電
装置なども研究しており、注射器も
針を動かす必要があるため微小電力が
必要でしょうし、ウエアラブル装置など
への応用にも期待されますね。