痛くない注射器や、薬をしみこませた
シート状のものを皮膚に貼って注射の
代わりにする経皮吸収剤、マイクロ
ニードルアレイなどについて、単発
的にいろいろ書きました。
ということですので、今回は、
シリーズもので、経皮吸収剤の研究
開発はどうなっているのかを調べて
行きましょう。
まずは、正式には、経皮吸収型製剤
(TTS)と呼ぶんですね。
http://kusuri-jouhou.com/pharmacokinetics/tts.html
まあ、経皮吸収型製剤にはいろんな
種類があるようですが、今回は、「注射に
代わる」という趣旨のものをメインで調べる
ことと致しましょう。
注射に代わるというだけでない経皮
吸収型製剤含む皮膚外用薬市場の規模は、
日米欧で、以下のように、1兆円を越えて
いるそうで。
経皮吸収型製剤だけで見ると、どれだけ
の市場規模になるのかよくわかりませんが、
早いところ注射に代わる薬が出てくることを
祈りながら分析をして行きましょう。
まずは、いつものように、特許技術分類を
調べてみますと、FI技術分類で、A61Mの
37/00というのがあるんですね。
・37/00 人体内に媒体を導入するその他の装置
500 ・マイクロニードル
505 ・・マイクロニードルの製造方法
510 ・・マイクロニードルを用いた薬剤導入具
512 ・・・内部に薬剤貯蔵槽を有するもの
514 ・・・・マイクロニードル内部に流路を有するもの
516 ・・・・マイクロニードル側面に流路を有するもの
520 ・・・表面に薬剤をコーティングしたもの
530 ・・・マイクロニードルに薬剤を練り込んだもの
550 ・埋込投薬装置
560 ・・薬剤を薬剤貯蔵槽に追加するためのポートを備えたもの
580 ・人工受精(動物についてA61D7/02
590 ・ペレットを埋め込むための装置,例.マーカー,固体薬剤
ということで、550より下は、マイクロ
ニードルではなさそうですので、FIは、
37/00の500から530を検索することに
致しましょう。
Fタームのほうは、4C167「媒体導出入
付与装置」のAA71「・経皮投薬装置」、
AA72「・・パッチ」がありますし、4C076
「医薬品製剤」のBB31「・経皮」、CC18
「・・外皮」などがありますので、これらを
使って検索してみましょう。
(4C076の関係するA61K9/00~などは、
くくりが大きいのでFタームを使いましょう)
まずは、FIのA61M37/00で、展開記号
550~590を抜いたものを検索すると、
3000件以上となりました。
このため、狭い範囲の検索となってしまい
ますが、まずは展開記号500~530のマイクロ
ニードルを私のデータベースでピンポイントで
検索すると、48件となりましたので、まずは
このマイクロニードルそのものズバリを見て
みましょうかね、と見てみると、2015年公開
以降のものだけしかヒットしていませんでした。
今回のシリーズは、FIで検索するときの
方法論の話ではありませんが、種明かしを
ちょっとしてみましょう。
まずは、以下のように、プラピ(J-
PlatPat)さんのPMGSの「FIハンドブック
一覧表示」というものにして見てみると、
FIの「再解析中」となっているんです。
「ふむふむ、マイクロニードルは、新しい
技術なので、上のFIは、きっと新しくできた
FIで、再度FIを割り振っている最中なのかな?」
などとつぶやきシローさん状態で、「FI改正
情報」をクリック致しましょう。
そうすると、上の画面になりますので、
「2015年のものからしかヒットしなかった
ので、きっと改正は2014年の11月頃
だろうな」などとまたもやつぶやきながら
クリックすると、ピンポーン、以下のように
11月に新しく追加されたんですね。
どういうことかというと、商用データ
ベースは、特許庁から毎月出るデータを
買ってきて、これにより検索をかけます
ので、タイムラグにより、新しいFIには
まだ対応できていない場合があるんです。
したがって、プラピさんの「特許・実用
新案分類検索」で、同じように検索をかけ
ると、一番古いものが2007年公開で447件
ヒットしてきました。
(もっと古いものもあって、現在特許庁
さんで、一生懸命、しこしこ、解析中
なのかどうかはわかりませんが)
商用データベースを使っているから、
「だーいじょーお、ぶい」などと安心すると
目指す検索ができないこともありますので、
注意しましょうね。
ということで、この447件のほうは、次回
分析することとして、まずは、この直近の、
48件の出願人は以下のようになっていま
した。
ここで、まずは、直近で一番多い、コス
メディさんてどんな企業なんだ?というのを
調べてみましょう。
・ コスメディ製薬株式会社
http://www.cosmed-pharm.co.jp/
本社京都市、設立2001年、資本金
7,000万円、京都薬科大学薬剤学
教室から出発し、 TTS ( transdermal
therapeutic system )基礎研究を基盤
とし、 経皮吸収型医薬品、化粧品及び
粘着性素材並びに研究用装置を開発する
皮膚関連製品における開発専門会社。
オリジナルブランドの化粧品「Quanis」
の開発もしたそうで。
マイクロニードル関係の開発は、以下の
ようになっています。
http://cosmed-pharm.co.jp/seihingaiyou/microhyala.htm
このマイクロニードル技術については、
2015年に、ニプロ株式会社にライセンス
契約をおこなっており、バイオセレンタック
さんから、マイクロニードル技術について、
「侵害だー」などと訴えられてもいたの
ですが、以下のように、地裁、知財高裁
レベルで、「コスメディさんの、勝ちー」
となっています。
http://www.cosmed-pharm.co.jp/img/news_hotline_2015.pdf
ということで、続く。