次は、特許第54号の軽便非常長持
です。
発明は、神奈川の関口順之助さんで、
地震のときに(そうは書いてなくて、非常の
ときにですが)、簡便に持ち運びができて、
何もないときは畳んでしまっておけるん
です。
便利でしょう!!??
明治19年11月から21年4月までの
販売数量は約100個で、売上約200円で、
1個2円だったんですね。
(当時の貨幣価値については、第1回目で
取り上げていますので、知りたい方は
見てください)
販路は主として東京、横浜で、比率は
7対3、売上げに対する利益はあるん
ですが、そのほかに、工場建設、諸道具
購入費などがあり、全体を見ると、赤字
だったんです。
知る限り侵害者はいないのですが、
類似品を製造する者がいると聞き
及んでおり、どこの時代でも真似を
する人はいるもんです。
次は、納涼団扇ですが、これは、
以前に書きました。
1台売れて25銭の利益だったんですが、
15年の専売特許期間を選択しましたので、
特許局から最初に「金弐拾円也」を取ら
れていますので、大赤字だったでしょう。
次は、「鮨漬箱」で、東京の木村清さんの
発明です。(特許第26号)
この発明では、寿司を1個1個握る
必要がなくて、一度に作ることができる
ので、有益なんだそうです。
明治19年4月から21年4月までで、
販売数量825個、売上103円75銭
1個12.5銭程度ですね。
販路は相応に開けているそうです。
残念ながら、専売特許権を得たからと
いって、これによる利益は出ていない
そうで、製造販売は木村さんが全部
自分でやっているそうです。
次は、特許第136号の冠り蝙蝠笠で、
長野の横山與一郎さんの発明です。
これは、蝙蝠傘のように畳むことが
できて、被ることができるので、使用、
携帯とも便利で、日傘にもなるし
雨傘にもなるので、新奇有益なんです。
(「よく考えられた発明だとは思うの
ですが、よっぽど大きな傘でないと、
濡れるんじゃあねーか?」と思うのは
私だけ?
明治19年5月から21年4月までで、
販売数量1,740個、売上額748円40銭
と販路は大きいのですが、費用の問題
などで、製造を拡張するまでに至って
いないんだそうです。
何にお金がかかっているんでしょう?
実施以来の純益は、69円70銭で、
製造は横山さん本人がおこなっています
が、販売のほうは委託してるんだそうです。
儲かっているんですね。