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知られざる特許の旅 第9回   明治時代の技術 1

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 前回の続きで、次は、「錠及鍵」で、 東京の

長野幸吉さんの発明です。

 

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  容易に合鍵を製造できないものだ

そうで、江戸時代のようび粘土に鍵を押し

付けて、型を取る方法ではダメなんで

しょうか??

 

 明治21年3月から4月までの2

か月で販売数量450個、売上70円

70銭、専売特許にして得た利益は

11円と効果がありました。

 

 特許年限は10年ですので、15円の

特許料も差し引いた金額なんでしょう

か?

 

 こちらのほうも長野さんは製造に徹して、

販売は委託しているそうです。

 

 次は「下駄歯」で、 東京の中村小兵衛

さんから出ていますが、特許権者が黒田

卯之助さんでしたので、中村さんが特許権

譲り受けたようです。

 

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 この下駄の歯は鋼でできているそうで、

上の孔で下駄にねじ止めするそうで、

鋼でできているので、磨滅しにくいんだ

そうです。

 

 明治19年10月から21年4月にかけて

販売数量5,641足、販売額1,462円38銭、

販路は東京が最も多く、次が大阪、その他

北海道、長野、新潟、神奈川、福井など

全国規模だったんです。

 

 専売特許にして儲かった利益は780円

あまりで、すんごい儲かったんですね。

 

 販売額の半分以上ですので、原価は

かなり低いのでしょう。

 

 最後は便利炭です。 

 

 発明者は、本籍愛媛の西羅光造さんで、

粉炭を煉合した煉炭なんです。

 

 明治19年6月から21年4月での

販売数量652,500個、売上435円、

販路は明治19年から20年までは

相応に売りさばけたのですが、21年に

入って、不振なんだそうです。

 

 なんでなんでしょうね?

 

明治21年のできごとを調べると、非常に

暑く、氷がよく売れたとなっていますので、

21年の1月からも、あったかかったので

しょうか?

 

 130年近くも昔のことなので、よくわかり

ません・・・・・。

 

 ということで、専売特許にして儲かった

のか?というのを見て来ましたが、儲かった

人もいたようですが、総じて、赤字だった

人が多かったのではないでしょうか?

 

 まあ、特許にしただけではダメで、販売

方法などの工夫も必要ですからね。

 

 ということで、赤字黒字はこれぐらいに

して、明治時代の技術動向を見て行く

ことに致しましょう。

 

 前回書いたときから、ずいぶん間が空いて

しまいましたので、もう一度同じマップを

載せておきます。

(登録1番から400番までのうち、技術分類が

わかっている333件の内訳です)

 

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 まず明治時代の専売特許で、一番多い

のは上のように、照明関係で、江戸時代が

終わっても、夜になるとまだまだ暗い時代

だったでしょうから、家庭内、歩行時など

での照明が必要不可欠だったのでしょう。

(下の「分類」というのは、「登録番号」

の間違いです。すんません)

 

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 上の、洋灯というのは、ランプのことで、

日本に、昔の行燈や蝋燭のかわりに

入って来て、電灯が点るまでは活躍

していたんですね。

 

 ランプには、点火器、消火器、風よけ

とかが必要だったようですが、この中の、

166号「杖灯」と、235号の「浮標付洋灯

壺」というのを見てみましょう。

 

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 まずは、上図のように、ちょっと上の

ところにランプを付けた杖なわけですが、

風雨が激しくても、提灯よりも風で火が

消えることが少ないんです。

 

 しかし、これって、本当に売られていたの

でしょうか?

 

 杖を使う方は、お年よりや、足が弱い

方でしょうから、転んだ時に、火が付いたり

しなかったんでしょうかね?


パテントマップ特許分析スマホ編 16 華為技術有限公司

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 今回はファーウェイさんですね。

 

 出願公開状況を調べると、以下のように

リーマンショックの影響はあまり受けて

おらず、さらには、右肩上がりで、同じ

中国のレノボさんとは様相が異なるようで、

華為さん、要注意!というところでしょうか。

 

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 どんな分野に注力しているのか?と

いうと、今まで分析してきたメーカー

さんとは異なり、他の分野には手を出さず、

一点集中主義のようです。

 

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 電気と物理分野だけですので、これを

一括して見てみると、以下のように、華為

さんの事業領域は、通信機器、通信装置、

通信基地局設備などですので、研究

開発は、通信技術に特化していますね。

 

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 これを時系列に見てみても、以下のように

通信技術に特化しているのがわかります。

 

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パテントマップ特許分析スマホ編 17 LG

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 今回は、LGさんです。

 

 LGさん、ラッキーゴールドスター、

ラッキー金星、エルジー電子などなど

いろんな呼び名がありますが、今回は、

エルジー電子だけでなく、グループで

分析してみましょう。

 

 エルジーさんグループの出願公開を

検索すると、14,000件以上となり、韓国

メーカーさん、おそるべし!というところ

なのですが、以下のようになっています。

 

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 リーマンショック前から出願が落ち込ん

だのですが、何かあったのでしょうか?

 

 その後回復はしていますが。

 

 次は、LGグループ内企業の出願公開

内訳です。

名寄せ、すなわち、LG電子さんは、エルジー

エレクトロニクスに、LGフィリップスはエルジー

ディスプレイなどに名前を統合しています。

 

 尚、エルジーイノテックは、ディスプレイや

モバイル製品などの、コンポーネント開発・

製造企業です。)

 

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 これを上位10位での技術を見てみると、

ディスプレイ含む表示装置や、電池関係が

多いのがわかります。

 

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 ちなみに、2016年版日経業界地図、

及び会社四季報業界地図では以下の

ようなシェアになっています。

 

・ 薄型テレビ

1位 サムソン電子 28.3%

2位 LG電子 15.8%

3位 ソニー 7.9%

 

・ リチウムイオン電池

1位 サムソンSDI 23.5%

2位 パナソニック 20.9%

3位 LG化学 17.9%

 

(上のリチウムイオン電池の%は

日経業界地図の数字。 会社四季報

の順位も同じですが、パーセントの

数字は無し。)

 

 ということで、時系列で上の技術を

見てみると、以下のように、ディス

プレイ関係はすでに日本を追い越して

いますので、出願は一服と言った

ところですが、急激に日本に追いつき

追い越せという二次電池関係で出願を

伸ばしており、今後主戦場となるで

あろう、車載向けに虎視眈々!!と

いうところと思いますので、日本も

頑張らねば。

 

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パテントマップ特許分析スマホ編 18  マイクロソフト

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 今回はマイクロソフトさんです。

 

 Windows10に切り替えました?

 

 私は、まだ切り替えていないの

ですが、あと半年ですので、その

うち切り替えねばと思っているの

ですが、もうバグとか出つくした

のでしょうか?

 

 それでは、分析の話で、まずは、

下のように出願公開で見てみると、

大きく落ち込んでいる年があるの

ですが、何かあったのでしょうか?

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 今朝、飯を食べたかどうかも忘れて

しまうボケボケ王花陣のため、2005年

などという10年も前のことは、まったく

思い出すことができません、です、

はい。

 

 出願内容を大きく見てみると、

マイクロソフトさんは、以下のように、

物理関係の技術が4分の3近くを占めて

いるんですね。

 

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 さらに物理関係を見てみると、以下の

ように、やはりPC関係に特化している

ようです。

 

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 技術分野の時系列公開情報と、直近の

出願公開情報を見ても、まだほとんどが

PC関係(というか、ソフトウエア??)の

ようで、ビルゲイツさんとかが一代で築き

挙げたマイクロソフトさん、今後、PC

関係のしりすぼみ状態をどのように

切り抜けていくのか目が離せませんね。

(余計なお世話かもしれませんが)

 

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パテントマップ特許分析スマホ編 19  クアルコム(Qualcomm)

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 今回はクアルコムさんです。 

 

 日本での出願公開は2012年から急速に

増加していますので、2010年頃から日本

出願を重視し始めたのでしょうか?

 

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 これを確認するために、USでの公開

情報を調べると、以下のように徐々に増加

していて、2012年公開から公開から増加して

いるわけではありませんので、クアルコム

さん、やはり2010年頃から日本の市場を

重視し始めたようです。

 

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 それでは、日本出願に戻って、どんな

技術が多いんだ?というと以下のように

なっています。

 

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 クアルコムさん、通信、半導体屋さんです

ので、やはり電気関係が多いようです。

 (会社情報は、このシリーズの2回目を

見てください)

 

 この電気関係と物理関係をさらに見て

みると、以下のように、他のスマホメーカー

さんとは毛色が違って、やはり、スマホなどが

必要な、ネットワーク通信基地などの技術

開発をおこなっているんですね。

 

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 これを時系列で見てみると、通信関係

全般に渡って、研究開発が持続されて

いるようです。

 (H04WがN/Aとなっていますが、無線

通信ネットワーク関係です。)

 

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 ということで、あとはグーグルさんが

残っていますが、海外特許出願で分析を

おこなっていますので、グーグルさんは

そちらで詳しく見ることにして、あまり

詳しく分析すると怒られる可能性があり

ますので、スマホ関係を簡単に見て

来ましたが、今年は、どんな新製品が

出てくるのでしょう。

 

 音声認識技術などが発達するとともに、

IoTとの境目がなくなってくるのかも知れ

ませんね。

 

 期待して見て行くことに致しましょう。

 

 

カイコシルクで人工血管

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 この前、NHKで、バイオミメティクス

(生物を模倣する技術ですね)の話を

していました。

 

 このブログでも、いろいろバイオミメ

ティクス技術の話をしていますが、カイコ

って、繭を作るときって、一本の糸だけで

繭を作り上げるんだそうです。

 

 カイコの繭を伸ばすと1200メートル

以上にもなる一本の糸だそうで、すん

ごいもんですね。

 

 カイコはこの糸で繭を作り、繭の中で

サナギとなり成虫になるわけですが、この

成虫になる過程では、生涯で最も無防備

になるため、天敵や風雨から身を守る強力

なシェルターが必要になり、このため、

カイコの糸の強さは、鉄に匹敵する強さ

が必要だそうで。

 

 カイコの糸って、口から吐き出すのでは

なくって、口の下に、糸を吐き出す第二の

口があって、そこから1分間に60センチの

ペースで、体の中から糸を引っ張り出すの

だそうですが、カイコの体内では糸では

なくて液体なんだそうで、ここにヒモのような

ものが浮いて来て、液体とともにそのヒモが

引っ張られて伸び、ヒモについた触手が

他の触手と網の目のようにくっつくことにより

細い糸が引っ張られたり、圧縮されたりする

うちに太い糸になり、鉄にも負けない強さと

なるんだそうで。

 

 「モスラ」恐るべし!!!

(違うっちゅうの!!などと、一人突っ込みを

しながら書いているわけでして)

 

 この強い糸で、シルクの人工血管を作って

いるのが東京農工大学の朝倉哲郎先生

なんだそうです。

 

 この朝倉先生、30年もの間、シルクの強さを

研究しており、現在はカイコの糸で作った人工

血管を研究しているんです。

(と、テレビで言っていました)

 

 人間の血管には強い圧力がかかりますが、

この強いシルクの人工血管はそれに耐える

強さがあるそうで、さらに、カイコの糸は

蛋白質でできていますので、この人工血管が、

徐々に溶けて行き、体内組織と置き換わって

本物の血管が再生されるんだそうです。

 

 ということで、朝倉先生の特許から、どんな

技術なのか見てみましょう。

 

 検索結果は総数39件でしたが、まず、

出願人を見てみると、東京農工大を除いて、

以下のようなところと研究をしているんです。

 

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 スタンレー電気さんと何の研究をして

たんだ?というと、バイオセンサ装置の

研究でしたね。

 

 直近の20件を見ると以下のようになって

おり、磁気共鳴装置などもあるため、違う人

かと思い、確認してみたら、同一人物でした。

 

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 一番最近の、特許5704665号は以下の

ような技術だそうですよ。

 

「近年、動脈硬化症など血管疾患の増加に

伴い人工血管の重要性は確実に高まって

いますが、人工血管においては、(1)安全性

(急性毒性、皮内反応試験、溶血性試験、

発熱性物質試験、皮膚感作性試験、

細胞毒性など)、(2)機能性(伸縮性、

縫合し易さ、柔軟性、切断端のほつれ

難さ、人工血管壁からの出血し難さ)、

(3)耐久性などが要求され、体内に

移植する部位によって様々な種類が

必要とされる。」んだそうで。

 

「人工血管のうち大口径のものは既に

実用化され臨床使用に耐えられるものと

なっていますが、口径5mm以下の小口径

人工血管は、ポリエチレンテレフタレート

PTFEなど代表的な人工素材の生体

不適合性による血管内膜の肥厚や血栓

形成による閉塞が原因で、未だ実用化

されるに至っておらず、そのため、現行では、

膝関節末梢などへのバイパス術は自家

静脈移植が行われており、患者への負担が

大きいこと、適合する血管を持たず自家

静脈移植を行うことができない患者が

多数いるなど問題は多く、近年、患者の

高齢化や糖尿病の増加に伴い、細小

血管の再生治療は増加し、特に末梢血管

など小口径の血管に利用できる抗血栓

のある人工血管の開発が以前から強く

望まれていた。」んです。

 

「一方、絹糸は、高い生体親和性を有して

おり、細くて強く適度な弾性と柔軟性を持ち、

糸の滑りがよく、結びやすくほつれ難い

特性を持っていることから、手術用の

縫合糸として用いられる天然繊維であり、

これまでに絹の高い生体適合性を利用

した様々な再生絹材料が開発され、医療、

生化学、食品、化粧料など幅広い分野

での利用が期待されていおり、特に、再生

医療のための材料として注目されている。」

んです。

 

「再生絹材料の絹を用いた人工血管

作製の試みとしては、組紐作製原理に

より編み込む動作を組み合わせて巻かれ、

且つ繭糸相互や混繊維相互が繭糸表面に

保有されているセリシンにより膠着されて

なる繭糸構造物が知られ、この繭糸構造物は

繭糸相互がセリリンで膠着されることで、

実用に耐え得る引っ張り強度になっているが、

セリシンはアレルギー反応を引き起こす

可能性が高いため、そのリスクを低減する

観点からセリシンを除去することが望ましく、

繭糸構造物は柔軟性・弾力性が十分では

なく、切断端もほつれ易いため、生体適合性と

術時の要求特性など絹本来の特性を

保持しつつもより機能性に優れた人工血管が

要望されていた。」んです。

 

 ということで、朝倉先生、

「絹フィブロイン溶解液からエレクトロ

スピニング法により形成される絹ナノ

ファイバーを用いれば、柔軟で弾力の

ある管状構造物が得られることを見出し、

エレクトロスピニング法は電場内で

ナノファイバーを発生させて電極上に

収集させ、この時、回転電極上の

周囲にナノファイバーを収集させれば

ナノファイバーの管状構成物が得られるが、

絹フィブロイン溶解液から形成される

絹ナノファイバーには粘性があり、

金属への接着性が良いため回転

電極上に強固に密着していまい、

剥離し難いことが判明し、剥離時に

破れ・解れ等が発生すると、特に

小口径人工血管として使用する際、

血液の漏出や血栓形成が懸念される

ため、更に検討し、絹ナノファイバーを

収集させる回転電極に樹脂製チューブを

被せて用い、破れ・解れ等を生じること

なく容易に剥離でき、且つ電場に影響を

与えないことを見出したり、コーティング材

なども研究し」発明に至ったんです。

 

 磁気共鳴装置は、このような用途

だったんですね。

 

 ということですので、さらに研究を加速

していただいて、ぼけぼけ王花陣老人の

抹消血管に使えるようなものを是非お願い

したいものです。

 

 

 

トンボの羽根で風力発電???

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 今回もバイオミメティクス(生物模倣

技術)の話です。

 

 よく、「バク転」のことを「とんぼ返り」と

言いますが(どっかに行って、すぐ戻って

くることも、とんぼ返りですね)、ほんとに

トンボって、空中でとんぼ返りができるん

ですね。

 

 トンボの羽根の厚さは3ミクロンと(1000

分の3ミリですね)、非常に薄く、羽根が平ら

なのかと思っていましたが、羽根には複雑な

骨格がついており、ここに薄い透明な膜が

いろんな角度でついており、拡大すると、

羽根は不規則にデコボコしているんです。

(と、テレビで言ってました)

 

 飛行機の翼は、風が形に沿って流れる

ことで上部の空気が薄くなり浮く力が生ま

れるわけですが、わずかな風では浮かせ

られないために、エンジンが必要なわけ

でして。

 

 これと違って、トンボのほうは、ほとんど

風もない中でもまったく羽ばたかずに滑空

できるんだそうで、トンボの羽根の空気の

流れを調べると、羽根がでこぼこなせいで、

羽根の上の谷間で渦が生まれており、

下部の谷間には渦が生まれないため、

羽根の上下で風の流れに違いが生まれ、

渦が風の動きを加速させることで速さの

違いが生まれて浮く力が発生してるん

です。

(と、これまたテレビの受け売りです)

 

 話は変わって、自然エネルギー利用の

風力発電は世界各地で導入されている

わけですが、日本の多くの地域では、

風速が平均4m以下だそうで、このような

地域では、大型の風車を回せないんだ

そうですね。

(そのほかに、低周波振動や、台風や

乱流による損傷、焼損なども問題に

なっていますが)

 

 このような風の弱い地域でも、トンボの

羽根のデコボコ構造を応用すれば、弱い

風でも風力発電装置が使えるように

なるそうで。

 

 これを研究開発しているのが日本文理

大学の小幡章先生ですので、特許の点

からどんな技術なのかを見てみましょう。

 

 風力発電に関するものは以下となります。

 

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 古いものから順番に見て行くと、まずは、

安価にできないか、というところから出発し、

次に低風速用、さらには実環境でも耐え

得る風力発電装置の研究をおこなって

いるのがわかります。

 

 この小幡先生、以前は日本飛行機(株)で

研究活動をおこなっており、当時、飛行機

関係の特許出願をしていたのですが、

その当時、ほかに、以下のような出願、

及び特許があるんです。

 

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 小幡先生、ゴルフが趣味なのでしょうか??

(趣味なのかもしれませんが、きっと、趣味で

発明したわけではありませんね)

 

 

 

パテントマップ特許情報分析ロボット編 3  出願概要

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 それでは、今回からどんなロボットが研究

されているのかを分析していくわけですが、

特許関係を含めたロボットの分析としては、

以下のような特許庁の調査が公表されて

いるわけです。

 

https://www.jpo.go.jp/shiryou/pdf/gidou-houkoku/25_robot.pdf

 

 この調査では、3ページ目に、どんな

技術分類を使って調べたのかが書かれて

いますが、興味がある方もお出でかと

思いますので、ちょっと書いておきま

しょう。

(尚、公表されている上記は概要版

ですので、詳細版を見たい方は、特許

庁の地下にある特許庁図書館か、国会

図書館に行けば見ることができますよ)

 

 特許庁さんでは(実際の調査は、民間

企業に委託しています)、海外も一括して

調べるために、IPC技術分類を使い、さらに、

大きくは、産業用、特殊環境用、サービス、

に渡ったロボットを調べるために、マニ

プレータ全般と補綴制御、下半身関係の

補助機能で大きく検索をかけて、これを

読み込みそれぞれの技術分野と要素

技術に振り分けているんです。

(スクリーニングといいます。 尚、

調査期間は優先権主張年ベースで2007年

から2011年とちょっと古くなってしまい

ました)

 

 特許庁さんは行政庁ですので、偏った

調査はできないでしょうが、私のほうは、

個人的興味で分析できますので、産業用

ロボットは切り捨てて、最新のおもしろ

そうなロボットを調べることと致しま

しょう。

 

 尚、特許調査は、出願前調査や、他社

動向調査、権利侵害調査、無効調査など、

など、いろいろあるわけですが、マン

パワーがある調査会社では、漏れを

極力なくすように、広い範囲で検索して、

ひとつひとつ読みながらスクリーニング

するという手法が使えますが、調査

会社でもない、私のようなパープリンは、

仕事はともかく、趣味で調査するような

場合は、まずは狭い範囲で調査して、

徐々に範囲を広げていくのが非常に

効率が良いんです。

 

 この手法は、時間がない場合の

調査にも重宝しますので、ご参考に

どうぞ。

 

 ということで、最初は、日本の出願を

検索することにして、まずは全体傾向を

見てみましょう。

 

 まずは、日本での二足歩行ロボットを

調べることとして、FI のB25J5/00@F

「二足歩行ロボット」とFタームの人間型

ロボット3C707WA03の論理和で出願

公開数を見てみると以下のように、最近、

出願数が減少傾向です。

 

f:id:oukajinsugawa:20160110135835j:plain

 

 減少傾向の原因がわかりませんので、

産業用ロボットも含めたマニプレータ

のIPCであるB25J全体を見てみると、

以下のように、別に減少傾向ではない

ようです。

 

・ 日本

 

f:id:oukajinsugawa:20160110135949j:plain

・ US

 

f:id:oukajinsugawa:20160110140023j:plain

 

 ちなみに、米国での出願公開制度は

2000年11月29日以降の出願に適用

されていますので、USは2001年からと

しています。

 

 ロボットの研究は日本が進んで

いると言われていますが、特許

出願数でもよくわかりますね。

 

 ただし、USでの出願数がどんどん

増加していますので、日本も安閑と

してはいられないようです。

 

 ちなみに、産業用ボットメーカー

などで作る日本ロボット工業会の

最新の発表では、2015年の産業用

ロボの国内生産額が2014年比6%増の

6300億円だそうで、2016年の国内

生産額も前年比6.3%増の6700億円の

予測だそうで、産業用ロボでは、

日本はまだまだ頑張っていますよ。

 

 

 


パテントマップ特許情報分析ロボット編 4 いろんなロボット調べましょ。。。。

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 前回はロボット全体の出願は安定して

いるのに、人間型ロボットの出願は減少

傾向であるというところで終わりました。

 

 今回はこれをさらに見てみましょう。

 

  同じIPCで比較できるように、

二足歩行ロボットを含む、B25Jの

5/00を日本とUSで比較すると以下の

ようになっていました。

 

・ 日本

 

f:id:oukajinsugawa:20160110140211j:plain

 

・ US

 

f:id:oukajinsugawa:20160110140239j:plain

 

 日本は、USよりも出願数が多いものの

産業用でないものの出願数が、原因が

わかりませんが、やはり減少傾向です。

 

 ソニーさんとかが研究開発をやめた

せいなのでしょうか?

 

 この原因は今後の分析でわかれば

調べてみましょう。

 

 次は、自走、自立型のロボットとしては

どのようなものが多いのかをFタームの

観点から全体傾向を調べてみましょう。

 

 使用するのは3C707のWAです。

 

・ 動物型

 

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 犬や猫のような癒し系より、やはり

人間に似せたものが多いんですね。

 

・ 脚の本数

 

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・ 移動形式

 

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 ちなみに、クローラとは「Crawler」で、

這って進んでいくような不整地走行用の

装置で、水泳のクロール「Crawl」とスペル

の語幹は同じですよ。

 

・ 特殊環境の移動

 

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パテントマップ特許情報分析ロボット番外編 富士ソフトさんの、ヒト型ロボット、パルロ君

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 富士ソフトさんで、高齢者福祉施設

向けの機能を強化した、パルロ君の

新型機を昨年12月(2015年12月21日)

から販売始めましたね。

 

 パルロ君は2010年から販売して

いるそうですが、高齢者に体操の

指導をおこなったりするそうで。

 

 「いきなり話、始めんなよなー、

パルロ君って言ったってわかるわけ

ねーだろー」ということで、パルロ

君は以下となっているんです。

 

https://palro.jp/

 

 まあ、癒し系ロボットですかね。

 

 それでは、富士ソフトさんって、

どんな会社かというと、正式名称は

富士ソフト株式会社」、証券コード

9749、本社は横浜、設立が1970年、

資本金は約262億円、連結売上高が

約1,485億円、連結従業員数11,395名

という大きな会社で、事業内容は、

通信、社会インフラ、機械制御などの

ソフト、及び業務系のソフト開発で、

パルロ君は、この制御テクノロジーを

生かしているんですね。

 

http://www.fsi.co.jp/

 

 このパルロ君、HPの仕様を見ると、

PRT-F050JWは、全高約40cm、

重量約1.8㎏、材質はABS/アクリル/

アルミ合金、アクチュエーターの自由度は、

頭部が2、腕部が6、腰部が2、脚部が

10だそうで、カタログによると、高齢者

福祉施設向けモデルIIが希望小売価格

税込723,600円、希望レンタル価格が

税込月額32,400円となっています。

 

 アカデミックシリーズの最新版も

現在準備中のようですが、ボンビー

王花陣には、とても手が出せない

値段ですので、仕方がありませんので、

指をくわえながら、パルロ君を知財

観点から見てみることに致しましょう。

 

 まずは商標を見てみると、以下の

ようになっているんです。

 

・ 登録5274171

 

f:id:oukajinsugawa:20160119143231j:plain

 

・ 登録5450123

 

f:id:oukajinsugawa:20160119143244j:plain

 

 指定商品・役務は、両方とも、電気通信

機械器具,電子計算機用プログラム、

おもちゃ,人形、電子計算機のプログラムの

設計・作成又は保守,電子計算機用

プログラムの提供なんです。

 

 意匠を見てみると、登録1412806、

1405302で、以下のようになりますよ。

 

f:id:oukajinsugawa:20160119143303j:plain

 

 特許のほうはどうかいな?というと、

ロボット関係は以下のような出願と

なっています。

 

f:id:oukajinsugawa:20160119143320j:plain

 

 富士ソフトさんの全体の出願は以下の

ようになっていますので、ずーっと本業の

ソフト開発をおこなっていて、2010年頃

(出願が2010年ですので、もっと前と

思いますが)から、ロボットに力を入れ

始めたようです。

 

f:id:oukajinsugawa:20160119143347j:plain

 

 特許のほうは、たとえば、特許

5222971は、以下のようになって

います。

 

f:id:oukajinsugawa:20160119143405j:plain

 

【課題】環境地図の作成と自己位置

推定を、求められる精度を確保しつつ、

安価に実現することのできる歩行ロボッ

ト装置及びその制御プログラムを提供

する。

 

【解決手段】環境地図を作成する機能は、

2ヶ所において撮影した地図作成用

環境画像から撮影対象物を示す代表点を

抽出し、代表点の位置と撮影した位置

座標とから撮影対象物の位置座標を求め、

撮影した地図作成用環境画像、代表点の

位置及び前記撮影対象物の位置座標

とを関連付けた環境地図を作成する。

自己位置を推定する機能は、任意の

位置座標において撮影した位置推定用

環境画像中の撮影対象物の代表点に、

対応する地図作成用環境画像中の撮影

対象物の位置座標を対応させ、交会法

によって前記歩行ロボット装置の自己

位置を算出する。

 

 

 

トムソン・ロイターさんの、自動運転技術の特許動向分析レポート

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 トムソンさんの標記レポートが

リリースされていますね。

 

ip-science.thomsonreuters.jp

 

 まだ英語版ですが、ちょっと覗いて

みましょう。

(グラフなどは、直接ダウンロードして

見てください)

 

 2010年から2015年までの自動

運転技術の特徴的な発明は、

22,000件超で、2010年と2011年は

3,000件をちょっと上回る程度でしたが、

2012年が3,300件程度、2013年が

4,000件、2014年4,600件程度、

2015年はまだ集計が済んでいませんが、

5,000件に迫る勢いで、うなぎ登りの

発明数となっています。

(発明と書かれていますので、出願

公開数と思います)

 

 自動運転は、完全自動運転、ドライバー

支援、無線操作の3つの方法がある

わけですが、一番多いのが完全自動、

次がドライバー支援、無線操作の順に

なり、そのなかでも完全自動運転の

伸びが大きくなっています。

 

 公開数の企業別順位は以下と

なっています。

(データグラフが合わないところが

ありますが)

 

・ 自動運転

1 トヨタ

2 デンソー

3 Bosch

4 日産

5 ホンダ

6 Hyndai

7 三菱

8 Daimler

9 GM

10 富士重工

 

 ちなみに、Googleは19位だそう

で、そのほかに、アマゾンが14件、

ボーイング35件、IBM34件、マイクロ

ソフト10件、クアルコム24件、

三星107件などなどいろんなメーカー

さんから出願されているようです。

 

・ ドライバー支援

1 Bosch

2 トヨタ

3 Hyndai

4 Daimler

5 Continental

6 GM 

7 Volkswagen

8 Audi

9 BMW

10 Mando

(Mndoは万都で韓国のブレーキや

サスペンション、ステアリングなどの

メーカーさんです)

 

・ 無線操作

1 GM

2 Hyndai

3 Marvell

4 LG

5 デンソー

6 Samsung

7 UPS

8 ETRI

9 SK Hynix

10 三菱

 

 

 韓国の現代自動車が結構頑張って

いますね。

 

 例として、自動運転のGoogle

US20150310281A1や、

無線操作の、現代、US20150163854A1

などが紹介されています。

 

 以下は、レポートからの貼り付けでは

なくて、公報から私のほうで抜粋貼り付け

したものです。

 

・ Google US20150310281A1

「Methods and Systems for Object

Detection using Multiple Sensors」

 

f:id:oukajinsugawa:20160120124037j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20160120124050j:plain

 

・ 現代 US20150163854A1

「SYSTEM AND METHOD FOR PROVIDING COMMUNICATION

SERVICE, AND VEHICLE SUPPORTING THE SAME」

 

f:id:oukajinsugawa:20160120124117j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20160120124145j:plain

 

 

 

 

パテントマップ特許情報分析ロボット編 5 ロボット用途を調べてみましょ。。。。

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 今回はどんな用途のロボットが多い

んだ?というのの概要を調べてみま

しょう。

 

 使うのは、Fタームの3C707の観点

AS「用途」です。

 

 こちらは、ここ10年間で見てみましょう

かね。

 

・ 加工方法等

 

f:id:oukajinsugawa:20160110140710j:plain

 

・ 搬送等

 

f:id:oukajinsugawa:20160110140742j:plain

 

 上の、加工や搬送ロボットは産業用ロボ

ですね。

 

・ 産業分野別

 

f:id:oukajinsugawa:20160110140823j:plain

 

 上のマップは、分野が特定できるものを

表記しており、このほかに、分野が特定され

ない産業ロボが多数あります。

 

・ 特殊分野

 

f:id:oukajinsugawa:20160110140857j:plain

 

 特殊分野では、宇宙用や、水中用

などいろいろあるようですが、詳細は

後ほど見てみましょう。

 

・ 用途

 

f:id:oukajinsugawa:20160110140949j:plain

 

 用途別では、ロボットスーツやアシスト

スーツなどのアシスト機能の研究が盛ん

ですが、ロボットスーツ関係の分析は、

以前にシリーズでおこないましたので、

興味があるかたはそちらを見てください。

 

 ということで、概要を見て来ましたが、

大分概要がわかったような?気分に

なってきましたので、さらに調べて

行くことに致しましょう。

 

 

 

中村おじいちゃんの無線綴じ冊子特許

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 朝日新聞に、「特許も取ったおじい

ちゃんのノート」という記事が出ていま

した。

 

 印刷所の社長さんの中村さんが、

どこのページを開いても真ん中が

ふくらみにくく平らになり、手でおさえ

なくてもきれいに開き、コピーの時に

真ん中が黒くならないというノートを、

2014年10月に売り出したのですが、

販売のノウハウを持たない印刷所では

まったく売れず、特許も取ったのに、

7千~8千冊の在庫を抱えてしまった

ため、孫娘に、「学校の友達にあげて

くれ」と渡したんだそうです。

 

 そうしたところ、孫娘さんが、「学校じゃ

使う人がいないから」ということで、元日に、

「欲しい方あげるので言ってください」と

ツィートしたんだそうですね。

 

 そうしたところ大反響で、販売通販サイト

などですぐに在庫切れになり、大出文具

メーカーも提携を申し込んできたとのことで、

ツィートってすごいもんですね。

 

 ということですので、、この特許を調べて

みましょう。

 

 まずは、出願が2014年の11月27日、

登録が2015年の5月15日、登録番号

5743362号、発明の名称が、「無線綴じ

冊子の製本方法」となっています。

(早期審査がされています)

 

 発明者は社長の中村輝雄さんで、出願

人はこの会社の、「有限会社中村印刷所」と

なっています。

 

http://nakaprin.jp/

 

 中村さん、この半年前にも同じ発明の

名称の出願での出願公開があり、要約を

見ると、「優れた見開き性を備えた無線

綴じ冊子を簡単な方法で製本できる

無線綴じ冊子の製本方法を提供する。」と

いうのがあるんです。

 

 じゃあ、どうやって、ぺったらっこく

できるんだ?というと、「表紙材の裏面

中央に設けた2本のスジ又は折り目の

うちの一方を反対側に折り曲げて2つに

折り、当該一方の折り目を前記本文の

背面に揃えて当該表紙材を前記本文に

沿わせて配置する工程と、当該表紙材の

折り目を含み前記本文背部の全面に

コールドグルー接着剤である第1の接着

剤を層状に塗布する工程と、前記第1の

接着剤層表面の固化が認められたところで、

当該第1の接着剤よりも相対的に高粘度の

第2の接着剤を塗布する工程と、前記第2の

接着剤塗布後に前記表紙材で前記本文を

くるみ、当該本文の背面を押圧状態に

保持する工程とを含むことを特徴とし、

第1の接着剤は下塗り、上塗りの2回

塗りとする」ことで解決ができるんだ

そうですよ。

 

f:id:oukajinsugawa:20160121162551j:plain

 

 この製法は、製本にも使えるんだと

思いますので???、分厚い冊子でも

このようなものができるといいですね。

 

 ちなみに、製造方法で特許を取って

いるのですが、製造方法を真似されても

一目見てわかるんでしょうかね。

 

 最近は、製造方法だけで特許を

取っても権利行使が難しいですので、

なるべく物の発明でも権利化を図るの

ですが、物での権利化は難しかったんで

しょうか。

 

 

 

アルケアさんのロコモスキャン

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 「ロコモスキャン」って何だ?という

ところですが。

 

 というか、アルケアさんて、誰だ?と

いうところですね。

 

 アルケアさんて、昔はギプスの製造

会社だったそうですが、現在は医療器具

メーカーさんで、正式名称「アルケア

株式会社」、創業は1955年、本社は

東京都墨田区、資本金9,000万円、

売上高が137億円、事業内容は、

メディカルケア、ホームヘルスケア、

スポーツ&セルフケア用品の開発並びに

製造・販売、輸出入、となっています。

 

http://www.alcare.co.jp/index.shtml

 

  事業内容の詳細は、身体運動に

関わる骨、筋肉、関節、神経などの

疾患や障害に対するロコモティブケア、

創傷ケアのウンドケア、人工肛門・人工

膀胱造設や、高齢化排泄管理のオスト

ミー&コンチネンスケア、在院時の

ナーシングケアの四本柱だそうで。

 

 それでは、最初に戻って、「ロコモ

スキャン」て何だ?というと、身体

運動に関わる運動機能が低下して

いないかを測定するための測定器

なんです。

 

 これは、日経産業新聞2016年1月

12日号によると、利用者の足首に専用

ベルトを巻いて固定し、太ももに力を

入れて、ベルトに加わる力から筋力を

測るんだそうですね。

 

 別に個人に販売しているわけでは

なくて(個人で買う人はいないと思い

ますが)、人間ドックとかの医療専門

機関に販売しており、税別90万円

だそうで。(と新聞に書いてありました)

 

 ということで、知財関係はどうなって

いるのかをちょと覗いてみましょう。

 

 まずは、商標を見ると、登録5461202号

と5461203号で、「ロコモスキャン」、

「LOCOMO SCAN」で登録がされて

いますので、測定機械器具,電気

磁気測定器,電気通信機械器具,

電子応用機械器具及びその部品,

運動技能訓練用シミュレーター、

おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持

包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,

スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,

ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,

避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん

用材料(歯科用のものを除く。),医療用

機械器具、運動用リハビリテーション

器具,運動用具に使うと怒られますので、

「乳首」!!にも使わないように致しま

しょう。

 

 意匠のほうを見てみると、142件

出ており、ロコモスキャン関係は

出ていませんが、サポーター関係や、

腰部固定体等いろいろ出ています。

 

 ロコモスキャン関係の筋力測定器の

発明はどうなっているのかというと、

特許5633001「筋肉評価装置、筋肉の

性能及び/又はトレーニングメニューの

判定方法」となっていて、ロコモスキャン

ではないですが、特許5017618「筋力

トレーニング用装具及び筋力トレー

ニング方法」などもあるんです。

 

特許の5633001を見てみると、以下の

ようなものだそうです。

 

f:id:oukajinsugawa:20160119123350j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20160119123407j:plain

 

 要約によると、筋肉の性能及びトレー

ニングメニューを簡便かつ的確に判定

できる装置又は方法を提供する方法

だそうですよ。

 

 ということで、アルケアさん、どんな

研究開発をおこなっているかというと、

事業内容に書かれている内容の

研究開発をおこなっていますね。

 

f:id:oukajinsugawa:20160119123435j:plain

 

 液体包帯というのもあるんですね。

 

 一つ勉強になりました、です、はい。

 

 ということで、アルケアさんに是非

頑張っていただいて、ボケボケ王花陣

老人も使えるような運動プログラム

なども開発していただけると助かります。

 

 

 

知られざる特許の旅 番外編 明治時代のスリーディー

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 3Dおおはやりですよね。

 

 「3D」とウエブに打ち込むと、3次元

コンピュータグラフィックス(3DCG)、

3Dモデリング、3Dフォト、3D映像、

3D映画、3Dテレビ、3Dプリンター、

3Dメガネ、等々、「もうやめちくりぇー」

というぐらい、続々出てきます。

 

 物を現実と同じように投影して

3Dで見てみたいという欲求は昔から

あったようで、明治時代の登録特許

でも、このようなものがあるんです。

 

 これは、特許第22858號というもので、

出願が明治44年、登録が大正元年、

特許権者は佛蘭西國巴里市(フランスの

パリですね)に住む、国籍が匈牙利國

ハンガリーですね)のエマニュエル

婦人の親戚の(エマニュエル夫人の

親戚というのは嘘です)、エマニュエル

セルヴァンカという方で、発明の名称は、

「實體活動寫眞機」というものなんです。

(古い漢字でそのまま書くと、いかにも

古そうでしょう???)

 

 ということで、いつまでも昔の漢字で

書いていると疲れますので、現在の

漢字で書きますが、概要としては、

まずは、活動写真(映画ですね)を

撮影するときや、これを投射するときに、

フィルムの進行速度と一致するように

した光線を左右に偏向し、これにより

原点位置を交互に変更し、前面には

物体用前面鏡を置くと共に、側方に、

傾斜させた固定の鏡を置き、これと

平行して、フィルムの運動に従って、

可動鏡を動かすか、固定の鏡及び

可動の鏡に変えて全反射プリズム

を使うか、フィルムと同時に揺動

シャフトに運動を伝えて物体鏡を

左右に動かすなどして、観客の目と

映像の間に何の装置がなくっても

3D映像として見えるんです。

 

f:id:oukajinsugawa:20160119190523j:plain

 

 ということで、わかったような、

わからないような?感じですが、

本当に3D映像を見ることができた

んでしょうかね?

 

 尚、この明治44年頃の登録特許を

調べると、日露戦争の影響か(日露

戦争は明治37年から38年にかけて

です)、鉄砲やら、銃弾やらの兵器

関係の登録が結構多く、それも、

外国人の登録が多いんです。

 

 統計を取ったわけではないですが、

外国人の登録は、結構先端的なものが

多く、日本人のものは、改良や、小物

関係など、まだまだ技術では外国に

追いついていなかったんだな、という

のがわかります。

 

 ちなみに、明治45年には自動券売機

の登録などもありますよ。

 

f:id:oukajinsugawa:20160119190702j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20160119190726j:plain

 

 発明の性質及び目的というところで、

「ていしゃば」というのがノスタルジーを

そそるような???

 

 そそりませんか???

 

 

 


パテントマップ特許情報分析医療用ロボット編 1 インテュイティブその1

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 現在、二足歩行型ロボットの分析を

おこなっていますが、ついでですので、

医療用のロボットも並行して分析して

みましょうかね。

 

 医療関係では、以前にシリーズで、

医療用材料編や歯科医療編、医療ツール

医療機器編、カプセル内視鏡篇などを書いて

来ましたが、今回は医療ツールではなくって、

手術支援ロボットなどの医療用ロボット、

そのものを調べてみましょう。

 

 まあ、医療ロボットといっても、医療ツール

の集合体なわけですが、以前に取り上げた

医療ツールなどは極力省いて、以前に

断片的に取り上げた、インテュイティブサー

ジカルさんの「ダヴィンチ」(正確には「ダ・

ヴィンチ」だそうですが)のようなロボットを

調べてみることに致しましょう。

 

 それでは、レッツラゴー。

 

 前回、インテュイティブサージカルさんは、

2015年2月3日に日本での出願分析

結果を載せましたが、1年経ちましたので、

最新の日本国内出願結果と、USでの出願

状況を調べてみましょう。

(インテュイティブサージカルと書くのは

長いので、今後ISと表記します)

 

(前回のものは、以下です)

 

oukajinsugawa.hatenadiary.jp

 

 以下は日本の公開日で、2011年から

表記させていますが、さらに公開数を

増加させていますね。

 

f:id:oukajinsugawa:20160124092820j:plain

 

 それでは、USではどうかというと以下の

ようになっています。

(USの出願公開制度(早期公開制度)の

適用は、2000年11月29日出願以降から

のため、こちらのほうは、公開ではなく、

出願日でのマップにしています)

 

f:id:oukajinsugawa:20160124092849j:plain

 

 公開日と出願日の違い、米国出願から

海外出願へのタイムラグはあるものの、

やはりおひざ元のUS出願が多いですね。

 

 それでは、基本特許はどのようなもの

なのか覗いてみましょう。

 

 と、その前に、ISさんて誰だ?というのを

調べておきましょう。

 

 ホームページは以下となりますが、

前身はスタンフォード大のスタンフォード

研究所(Stanford Research Institute

(SRI International))で、1980年代

後半から、US Armyのためにダヴィンチ

のプロトタイプを研究していたわけで

して。

 

 これを実現するために1995年に

ISは設立されて、現在、本社は

カリフォルニアのサニーベイル、

2015年の売り上げは、$2,384.4

Mil、従業員数3,178名、2015年

9月30日現在で、ダヴィンチの設置

数は3,477台で、USが2,344台、

EU586台、日本が215台、その他

332台だそうですよ。

 

http://www.intuitivesurgical.com/

 

 と、ISさんの企業情報を調べて

みましたが、昔はSRIさんでの研究が

されていたということですので、

基本特許を調べるためには、ISさん

だけを調べるのは片手落ちとなり

ますので、SRIさんも調べる必要が

ありますね。

(特許検索を行う場合には、漏れが

出ないように、このように、企業背景を、

まずは調べておく必要があるんです)

 

 それでは、基本特許はどのように

見つけるんだ?というと、被引用

件数が多ければ多いほど、大体、

基本特許と言っていいわけでして。

(それだけではないですが)

 

 被引用回数って何だ?というのは、

審査において、拒絶理由としてその

文献が何回挙げられたか、というもの

なのですが、残念ながら、プラピ(J-

PlatPat)さんにはこの被引用回数を

調べるシステムがありませんので、

私のほうの商用DBを使って調べて

みましょう。

 

 ということで、次回に続く。

 

 

 

パテントマップ特許情報分析医療用ロボット編 2 インテュイティブその2

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 ということで、ISさんとSRIさんの

US出願関係を調べると以下のように

なっていました。

(被引用回数100回以上で、関係あり

そうなもので出願が古い順に並べて

あります。

 

f:id:oukajinsugawa:20160124093648j:plain

 

  もしかして漏れがあるといけません

ので、PCT出願も調べると、上のものより

古いものは以下のようになりました。

 

・ WO93/13916

出願日:1993年1月14日

優先権主張:1992月1月21日 US

出願人:SRI

被引用回数:133回

発明の名称:TELEOPERATOR SYSTEM

AND METHOD WITH TELEPRESENCE

 

f:id:oukajinsugawa:20160124093739j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20160124093809j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20160124093830j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20160124093913j:plain

 

 最初は、メガネをかけてやっていたん

ですね。

 

 左右のカメラで異なる角度から作業

空間を映像化して立体信号出力を生じ

させ、お医者さんは、これを立体画像と

して見ることができるとともに、コントロ

ールアームによって、お医者さんと同じ

動作を手術ロボットにさせるんだそう

ですよ。

 

f:id:oukajinsugawa:20160124094057j:plain

 

  上はファミリー関係のマップなのですが、

ものすごい数量で、何がなんだかわから

ないマップになってしまい、すんません。

  

 日本でも特許化されており(特許

3583777)、まあ、これが最初の基本

特許なんでしょう。

 

 

 

 

パテントマップ特許情報分析医療用ロボット編 3 インテュイティブその3

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 それでは、ほかも見てみましょう。

 

・ USP5631973

出願日:1994年5月5日

出願人:SRI

被引用回数:220回

発明の名称:Method for telemanipulation

with telepresence

 

f:id:oukajinsugawa:20160124110142j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20160124110205j:plain

 

 メガネが必要なくなったのか?と

いうとそうではなくて、臨場感を

持って操作するためには、やっぱり

まだ以下のようにメガネが必要

だったんです。

 

f:id:oukajinsugawa:20160124110240j:plain

 

 前の出願と何が違うかというと、

映像化装置に接続された位置センサーが、

位置を感知し、プロセッサーが可視

リアルタイムイメージを透視イメージに

変換し、このイメージに対してハンド

コントロールによりエンドエフェクター

操作する結果、以前の発明よりも、

お医者さんは、本当の手術をおこなって

いるような臨場感で、エンドエフェクター

やマニピュレーターを操作できるんだ

そうですよ。

 

  それでは、眼鏡型から、現在のディス

プレイ型原型は、いつできたのか?

というと以下のようになるんです。

 

・ WO98/03021  SRI

SMALL VISION MODULE FOR REALTIME

STEREO AND MOTION ANALYSIS

 これは、手術型ロボットに限定されて

いませんが、まずはこのような研究が

されていたんですね。

 

f:id:oukajinsugawa:20160124110357j:plain

 

・ USP 6424885  IS

出願日:1999年8月13日

 Camera referenced control in a minimally

invasive surgical apparatus

被引用回数:193回

 

f:id:oukajinsugawa:20160124110427j:plain

 

・ USP6720988  IS

出願日:1999年8月20日

Stereo imaging system and method for use in telerobotic systems

被引用回数80回

 

f:id:oukajinsugawa:20160124110456j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20160124110523j:plain

 

 ということで、眼鏡型ではなく3D

ビジョン型が1999年頃に完成し、

2000年からの発売につながったん

ですね。

 

 続く

 

 

 

 

パテントマップ特許情報分析医療用ロボット編 4 インテュイティブその4

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 それでは、IS(インテュイティブ

サージカル)さんとSRIさんの、他の

基本特許を調べてみましょう。

 

・ US5649956  SRI

出願日:1995年6月7日

System and method for releasably holding

a surgical instrument

被引用回数:181回

 

f:id:oukajinsugawa:20160124130741j:plain

 

 外科的手術でのツールを動かす

ロボット部分としては、これが基本

特許と言ってよいのでは?

 

・ USP5931832  SRI

出願日1995年7月20日

Methods for positioning a surgical instrument

about a remote spherical center of rotation

被引用回数264回

f:id:oukajinsugawa:20160124130804j:plain

 

  手術アームを所定の位置に導く

ための、ポジショニング装置の基本

特許となるのでしょう。

 

・ 出願日1997年5月16日

USP5797900  IS

Wrist mechanism for surgical instrument for

performing minimally invasive surgery with

enhanced dexterity and sensitivity

被引用回数:281回

 

USP5807377 IS 

Force-reflecting surgical instrument and

positioning mechanism for performing

minimally invasive surgery with enhanced

dexterity and sensitivity

被引用回数:304回

 

USP5792135  IS

Articulated surgical instrument for performing

minimally invasive surgery with enhanced

dexterity and sensitivity

被引用回数:546回

 

f:id:oukajinsugawa:20160124130829j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20160124130847j:plain

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 これらの同日出願の3特許は、

ロボットアーム、アームリストメカの

基本特許と言ってよいでしょう。

 

・ USP6132368  IS

出願日:1997年11月21日

Multi-component telepresence system

and method

被引用回数:405回

 

f:id:oukajinsugawa:20160124130949j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20160124131020j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20160124131048j:plain

 

 今までは、シングルアームシステムの

手術用ロボットでしたが、いよいよマルチ

アームシステムです。

 

 ということで、さらに続く。

 

 

 

 

パテントマップ特許情報分析医療用ロボット編 5 インテュイティブまとめ

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 前回の続きです。

 

・ USP6331181  IS

出願日:1999年10月15日

Surgical robotic tools, data architecture,

and use

被引用回数:454回

 

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f:id:oukajinsugawa:20160124153222j:plain

 

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 ということで、ISさんは、1990年代に

まずは今まで調べて来た、全体での

ロボット手術支援システムの基本特許を

抑え、2000年からは、手術ツール等での

ポートフォリオ固めをしていったんですね。

 

 それでは、これを確認するために、

SRIさんとISさんの全体傾向を筆頭IPCで

見てみましょう。

 

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 f:id:oukajinsugawa:20160124153522j:plain

 

 時系列で見ると、先ほど書いたように、

最初に基本特許を抑え、ツールなどの周辺

特許を抑えていったのがよくわかります。

 

 それでは、ISさんのまとめとして、

構成エレメントマップを作成して、IS

さん分析はおしまいに致しましょう。

(写真は、以下から貼り付け。

http://www.intuitivesurgical.com/products/davinci_surgical_system/  )

 

f:id:oukajinsugawa:20160124154216j:plain

 

 それぞれのポートフォリオ特許数や

詳細特許を貼り付けると細かくなって

しまうため、今まで調べた基本特許

となると思われるもので構成エレメント

マップとしていますが、まあ、ISさんは、

他にはわき目も振らずに、手術支援

ロボットをポートフォリオで隙間なく

権利化する作戦といえるでしょう。

 

 ということで、次回からは、じゃあ、

他の企業はどんな医療ロボットを

開発しているんだ?という全体を見て

行くことに致しましょう。

 

それではまた。

 

 

 

 

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